Arikaina 2017/6 有田の新任産科医 黒瀬高明さん[2]

「特に産科医が少ない」和歌山
医師確保にはどうすれば?


 日本産婦人科学会が'14年にまとめた資料によると(*)、全国の新規産科医は'10年から連続して減少。

和歌山県は特に産科医が少ない県の1つとして名指しされ、『緊急かつ抜本的な対応』が必要とされています。

ようやく市立病院でのお産が再開したばかりの有田ですが、「今のままですと近い将来、いずれ有田でもお産ができなくなってしまうのではないでしょうか」

少子化に加え、当直も多く訴訟リスクも高い産科は「整形に次いで成り手が少ない」のだとか。

「最終的には、大学病院に手を差し伸べてもらわなければ難しい問題です。いつか常勤の医師を出してもらえると信じて、続けたい。その橋渡し役になれれば」

「お産するには医師が3人必要」
だからと言ってそれでいいのか


 前述の資料の中では『都市部と地方の産科医数の格差が拡大している』とも指摘されています。

「全国の大学のほとんどの先生が、集約化を主張します。安全にお産を進めるには、最低でも産科医が3人とされている。

そうすることで、(集約された所では)医師の負担を軽くすることはできますが、集約されなかった地域では産科医がゼロ、そういうところがいくつも出てくる。それでいいのかと」

もちろん妊婦さんにとっては、近くで出産できれば負担が減ることは言わずもがなです。

「特に2人、3人とお子さんを産む方にとっては(遠くの病院に通うのは)大きな負担です」

 有田の印象について「住みやすくて、人情味があふれてる」と言う黒瀬さん。

「産婦人科を続けていれば、医師仲間で話が出て、来てくれる産科医もいるかもしれません。実際そういう事もあります。医師を充足していければ、地方でもお産はできるんです」

厳しい状況は変わらないものの、当面は『有田で産まれたんやで』そう言える親御さんや子供たちが、今までより増えることになりそうです。

*日本産科婦人科学会「わが国の産婦人科医療再建のための緊急提言」
www.jsog.or.jp/statement/
pdf/kinkyu_teigen_20141213.pdf
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Arikaina
2017/6号
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