支援について「政府も和歌山県もたくさんのメニューをすでに用意してある(*1)」という仁坂知事ですが、その多くは返済の必要があるもの(つまり借金)や、自己負担分も必要なもの。 当面、県民は一律給付の10万円と借金で「何とか」しないといけないのでしょうか。 ※記事の内容は5月4日時点でのものです。 休業要請に応じた事業者に協力金 全国35都道府県で実施 4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大されて以降、各都道府県では、休業要請に応じた事業者に協力金を支払う制度を整備してきました。 本紙の調べでは、5月4日時点で全国35都道府県がこうした制度を実施しています(別表)。 しかし和歌山県では、仁坂知事は「要請業種にだけ補償金を出すのはおかしい(*1)」「我々は協力金なんていうケチなものは出さない(*2)」などと、協力金に否定的な見解を繰り返していました。 代わって県から打ち出されたのが、5月1日に発表された「事業継続支援金」です。 休業要請を出した業種だけではなくすべての業種を対象に、売上が50%以上減少した事業者に、従業員規模に応じて20 万円〜100万円を支給するという内容になっています。 千葉・埼玉・福岡でも休業要請にかかわらず支援 仁坂知事は「和歌山県以外の各県の独自策は法律上の休業要請業種、 施設に対する一律『補償金』又は『協力金』の給付だけ」としていますが(*1)、 千葉県でも休業要請した業種だけではなく、売上が50%以上減少した事業者に10万円(事業所を賃貸している場合は20万円、複数賃貸している場合は30万円)を支給する制度をとっています。 埼玉県では休業要請した業種に限らず、休業した事業者に支援金を出しています。 また福岡県でも休業要請に関わらず、前年度比で30〜50%売上が減少した事業者に、法人は50万円・個人事業者は25万円を支給するとしています。 50%以上売上が減少した場合は国の持続化給付金が使えるため、「30〜50%の減少の場合は県、50%以上の場合は国の制度が使える、という形です(福岡県のコールセンター)」。 協力金を「ケチ」呼ばわりしていた仁坂知事ですが、基本的には休業要請に応じれば支給される協力金に対して、和歌山県の「事業継続支援金」では、50%以上収入が減少したところでなければ支援金を受けられません。 また休業要請をした業種「だけ」にお金を出すのはおかしいとも言っていた仁坂知事ですが、観光関連の事業者に「だけ」は、県独自の緊急融資枠を別途もうけています。 別表
福島(賃貸の場合さらに10万円、最大30万円) 茨城(最大) 千葉(50%以上減少、最大30万円) 神奈川(賃貸1か所で20万円、2か所以上で30万円) 熊本 宮崎 山口(2店舗以上で30万円) 佐賀(1店舗につき15万円、何店舗でも上限なし) 山形(個人事業主は10万円) 群馬 埼玉(事業所が複数の場合は30万円) 静岡 滋賀(個人事業主は10万円) 京都(個人事業主は10万円) 京都(個人事業主は10万円) 奈良(個人事業主は10万円) 和歌山(従業員規模に応じ最大100万円) 香川(個人事業主も同額) 鹿児島(個人事業主は10万円) 沖縄 北海道(個人事業主は20万円) 青森(個人事業主は20万円) 宮城 長野 広島(雇用者がいない施設は20万円) 長崎 秋田(最大で60万円) 東京(2事業所以上で100万円) 富山(個人事業主は20万円) 福井(個人事業主は20万円) 岐阜 愛知 三重 福岡(売上減少30〜50%、個人事業主は25万円、減少分が上限) 大阪(市町村と府で折半、個人事業主は50万円) 「ケチくさくない」はずの和歌山の支援金 詳細は「まだこれから」 協力金を実施している35都道府県では、その内5県をのぞいて、すでに申請も始まっています。 和歌山県ではようやく県独自の支援策は出たものの、詳細は「まだこれから(県商工観光労働総務課)」という段階。 県の支援策では従業員規模に応じて20万円〜100万円を支給するとなっていますが、肝心の「従業員が何人ならいくら支給されるのか」は、まだ分からないままです。 多くの都道府県が実施している協力金では、金額はばらつきがあるものの、おおむね20万円〜50万円のところが多くなっています(別表)。 和歌山県の支援策では休業要請していない事業者も対象になりますが、もしほとんどの事業者が20万円〜30万円ほどの支給額に落ち着くようであれば、協力金に比べて格別「ケチくさくない」とは言えないものになるかもしれません。 また協力金では個人事業主も対象にしているところが多くありますが、和歌山県の支援策では、個人事業主が対象になるかどうかもまだ不明です。 詳細が発表になるのは「5月中には(同課)」とのことで、すでに申請が始まっている協力金より、給付も遅れることになりそうです。 多くの支援は借金か自己負担有 10万円と借金で「何とかしのいで」? 県は今回の独自支援策の発表に際し、現在活用できる国・県の支援として様々な制度をあげています(*3)。 そのうち5つが融資や貸付(つまり借金)で、3つが自己負担分も必要な給付、3つが給付を受けられるわけではないもの(納税猶予など)です。 純粋にお金が支給されるのは、国民一律の10万円と、持続化給付金だけです。 仁坂知事は、国からの支援は時間がかかるとした上で「県としては今本当に困っている人に対して、個人向け、事業者向けにお金を貸す制度をとっくの昔に作って、今でも使えるようにしてあります。 従って、それで何とかしのいで下さい(*4、太字本紙)」と言っています。 その後発表された県独自の支援策も「詳細はこれから」という状況では、県民は当面、10万円と借金で『何とかしのぐ』ということになりそうです。 *1 「わかやま通信」R2・5・3 *2 「わかやま通信」R2・4・28 *4 「わかやま通信」R2・4・20 *3 和歌山県「新型コロナウイルス感染症に係る支援策」https://www.wakayama-sangyo.com/wp-content/uploads/2020/04/3%E6%94%AF%E6%8F%B4%E7%AD%96%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%814.pdf
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