Arikaina 2021/4
貴重な自然、分かってるのに
またしても重要湿地が…日高川河口の工事、指摘でストップ

 日高川河口で県が行っていた工事が「環境への影響が重大」という専門家からの指摘でストップしていることが分かりました。

県の工事では'04年にも、有田川河口の工事予定地が重要湿地であることが分かり、計画が見直されています。

重機用の道が付けられてしまった重要湿地(写真提供=古賀教授)

 ストップしている工事は、県の日高振興局による「日高港港湾施設整備(外)合併工事」。日高川河口(御坊市塩屋町付近)の老朽化した導流堤(どうりゅうてい=水や泥の流れを調節する堤防)を整備する工事です。

 工事区域は環境省の定める重要湿地に指定されていますが、工事がはじまると、湿地の上に重機が通るための道が付けられました。

これを見た環境の専門家が「環境への影響があまりに大きい」として県に指摘。3月、工事は一旦ストップし、工法が見直されることになりました。

 日高川河口は重要湿地であるだけでなく、県の自然公園にも含まれている豊かな自然が残る地域。周辺には、御坊市の市指定天然記念物にもなっているハマボウの群生地もあります。

「カニ博士」の異名を持つ和歌山大学の古賀庸憲教授によると、工事区域には絶滅が危惧されるシオマネキやハクセンシオマネキなど、貴重な干潟の生物が多く生息しているとのこと。

また県立自然博物館の学芸員でハゼにくわしい平嶋健太郎さんによると、工事区域はレッドデータブックに掲載されるようなハゼが「ゴロゴロいる」地域とのことです。

有田川河口の教訓活かされず
県「制度見直す」


 県の工事では'04年にも、有田川河口に計画されていたマリーナが、予定地が重要湿地であることが分かり計画が見直されるという事態が起こっています。

今回の件を受けて県の自然環境室では「自然公園に関しては許可はとっていたが、重要湿地に関しては(工事前手続きの)見直しが必要だと考えている」と話しています。

前述の古賀教授は現場を確認して、「工事で水の流れが変わって、泥が少なくなっている。(貴重な生物の生息地である)湿地が少なくなるのを心配している」と話しています。

 日高振興局によると、工事は今後、重機のために通した道を一旦撤去。その後、また工事のやり方を見直すとしています。
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