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Arikainaメールマガジン 2021/5号(2021/5/10発行)


Arikainaメールマガジン 2021/5号
皆様こんにちは、Arikaina発行人です。
今月は以下のような記事を掲載しています。

※本紙ホームページから全ての記事をご覧いただけます。
Arikainaホームページ
https://arikaina.com


▼有田・海南でも予約殺到 コロナワクチン、5月から接種本格化
https://arikaina.com/_article/202105/vaccine-1.html

▼海南高原カントリークラブに大型風力発電施設 周辺住民から不安の声
https://arikaina.com/_article/202105/kainan-cc-windmill-1.html

▼「不要不急の外出自粛」のはずが…各地の行楽地、GWでにぎわう
https://arikaina.com/_article/202105/gw-1.html

▼県内で実施された聖火リレーの記念グッズ フリマアプリで転売相次ぐ
https://arikaina.com/_article/202105/torch-1.html

▼ほか記事一覧
https://arikaina.com/_article/202105/kiji-index.html


メルマガ読者の皆さんこんにちは、Arikaina発行人です。
ちょうど先月のメルマガを書いている時に1日の感染者が50人近くにまで増え、ほんとにどうなることかと思いました。さいわいそこから1日100人とかにはならなかったものの、県内でもとうとう仁坂知事が、全員入院を堅持できなくなるかもということを言うようになりました(*1)。

実際にこうやって爆発と言えるぐらい感染が広がったのを見ますと、今までのような「和歌山モデル」で大丈夫なのか?という気もしてきます。たしかに変異種の感染力はかなり高いようですが、知事は去年、陽性者を隔離し行動履歴を調査し全員入院させる(いわゆる和歌山モデル)ことをしていれば「コロナの爆発は防げて、病院の崩壊などは起こりようがないのです」とまで言い切ってました(*2)。

しかし実際には爆発(と言っていいでしょう)は起こり、それも20人の翌日に40人とか、それまでと比べてあきらかに急激な増え方でした。野尻技監のコメントを見てますと、病院も崩壊とまでは言わずともかなり大変な状態です。外出自粛や時短営業の要請、つまり「まん防」とか「緊急事態宣言」とか付いてないだけで似たような措置をして、ようやく少し減ってきたかなというところです。今までのやり方でどの程度抑え込めるのかという点に関しては、小々懐疑的にならざるを得ないというのが率直なところです。

去年1日20人ぐらいになった時にこのメルマガで、知事や西浦教授の発言から「いわゆる和歌山モデルはこの辺が限界なのではないか」みたいに書きましたが、今回のことをみても、そこら辺(か、ちょっと越えたあたり)が抑え込める限度なのかな、という気がします。

で、そうなると重要になるのは一人一人の行動の抑制なわけですが、記事にもしましたように、残念ながらゴールデンウィークもああいう状態でした。緊急事態宣言の出ている地域でも、マスコミの報道をみていますと「人の流れがあまり抑えられていない」といった報道をよく見かけます。

まあ何回も同じようなことが続くと、「緊急」と言われても「いつものやつ」になってしまってあまり効かなくなってくるのは、大衆心理としては無理ないのかもしれません。路上飲みや公園飲みで騒いでる人たちも、あんまり悪気を感じているようには見えません。

私が気になるのは、同じ抑制しないといけないものでも、行政や政治が「こういうのはいいけど、こういうのはダメ」みたいなことを言い出してるように感じることです。その象徴がオリンピックです。東京じゃ若者が多いところで都庁の人が呼びかけをはじめたそうですが、「でも、オリンピックやるんでしょ?」とか言われたらどう答えてるんでしょうか。

和歌山でも聖火リレーがはじまった4/9は、過去最多の44人を記録した日でした。和歌山の聖火リレーは4/9,10の2日間でしたが、その前後の感染者の推移を見ますと

※ %は病床使用率(330床で計算)
4/5 14名 45%
4/6 20名 50%
4/7 38名 57%
4/8 33名 61%
4/9 44名 69% 聖火リレー
4/10 23名 68% 聖火リレー
4/11 28名 72%
4/12 11名 68%
4/13 31名 70%
4/14 44名 78% 外出自粛呼びかけ

といった具合です。外出自粛を呼びかけるのなら、4/7や4/8あたりでも全然おかしくなかったように思えます。4/11や4/12ではロコツ過ぎるので、4/14まで「待った」というのは、下衆の勘繰りというものでしょうか。ただそうであったとしても、そう思われかねないようなことをすること自体、緊張感を高めるべき時にはマイナス材料だと思います。

あと、同じようなことを感じるのが観光についてです。大阪では緊急事態宣言にともない、USJや海遊館など行楽地が休業しました。そうなれば和歌山に流れてくることは十二分に予測できたはずですが、県内では行楽地に対して、特に休業の要請とかありませんでした(そもそも不要不急の外出自粛を呼びかけてるのに行楽地がそのまま、というのもおかしいですが)。

一方飲食店に対しては、早々と和歌山市内の飲食店に対して時短要請が出ました。大阪などの飲食店が時短になり、県外から飲みに来ている例がみられるというのがその理由です(*3)。だったら行楽地にも同じような措置がないとおかしいと思うのですが、ありません。和歌山市は連休中にどれくらい県外から行楽地に来ているか調べると言っているのですが(*4)、そんなん、調べなくても来てる・来ることは分かりきってるんじゃないでしょうか。それもかなり。

こういうことが続くと、いくら行政が「大変です!」「危機的状況です!」とか言っても、「ほんとに?」「実際はそうでもないんじゃないの?」みたく思う人が増えていくのではないでしょうか。ただでさえオオカミ少年のノリでだんだんまともに請けあってくれなくなるリスクがあるのに、輪をかけて協力を得にくくなってしまいます。

記事にした有田市の絵本なんかもそうです。記事で書きましたようにギャラや制作費(そもそもギャラがあること自体どうかという気もしますが)のこともそうですが、有田市は市立病院でコロナ患者を受け入れていますし、ああいう貴重な交付金、もっと緊急性の高い使い道があったはずです。医療現場の備品やら設備やら、100万円あればいろいろ買えたのではないでしょうか。それこそ市立病院でコロナ対応しているスタッフの方々に、少しでも臨時ボーナスでもあればよかったんじゃないかとも思います。

自分たちからモラルハザード(そのつもりがなくても、そうとられかねないようなものも含めて)を起こしてしまっては、だんだん人の善意に頼ることもできなくなっていきます。別に和歌山でなくても何とかモデルで抑え込めるのであればまだしも、そうでないことは今回のことで結果出たのですから、行動の抑制を促すために、呼びかける側はより一層の高いモラルや、不公平感を無くすための政策の一貫性が求められるのではないかと思います。

あと有田市ですが、絵本のほかにもフードチケット配ってることとか、市の広報の5月号では、新しくできた市民プールに泳ぎに行こうとかデカデカと出ていました。なんと言いますか、全体的に対策が「軽い」です。

というわけで、今月はこれくらいにしておきます。ワクチンも今月からどんどん来るみたいですし、少なくとも医療従事者と高齢者に行き渡れば、それだけでも結構違ってくるのではないでしょうか。

仁坂知事はワクチンが確保できてないといって怒ってましたが(*5)、まあ厚労省もあかんとこはあるでしょうが、ただこれって、日本だけ確保できればいいとかそういう問題ではありません。今や世界中でヒトやモノの流れがある以上、どこか行き渡ってないところがあればまたそこから広がっていきます。その意味ではCOVAXみたいなのこそ正しいアプローチであり(個人的にはすべてのワクチンがこういう仕組みでいいのではと思うのですが)、この前菅総理がファイザーに話つけてきましたみたいな、ああいうやり方の方がイレギュラーな気がします。

全世界60億人として、2回接種なら120億回。1回接種で済むのも含めてざっと80億回。今のところ、COVAXでは年末までに20億回分というのを目標にしてるようです(*6)。ものすごくざっくりですが、もしすべてのワクチンをこの仕組みにすれば、この倍くらいはいけるんじゃないでしょうか。凄まじい勢いで接種を進めている中東の某国とか、噂されているその入手方法を含め、将来批判されることになるんじゃないかと思います。

日本なんかも自国の分に汲々としているのではなく、国内製造してほかの国に輸出するとか、そういう立ち位置なはずです。落ちぶれたとはいえ、世界的にはまだまだ経済大国です。今のところワクチンの自国開発には成功していませんが、製造する機器も、それができる人材もあるはずです。実際アストラゼネカのやつを9,000万回分くらい国内で製造するという話になってたはずですが、どうなったんでしょうか?まあ残念ながら、アストラゼネカのやつ自体ああいうことになってしまってますが…

どのみちワクチンがうまくいったとしても、まだまだ時間のかかることです。とりあえずは今の波がこれ以上ひどくならないことを祈りつつ、それではまた来月。
※次号は6月10日(木)発行です。

(*1)知事記者会見 令和3年4月27日 | 和歌山県
https://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/press/03/4/210427.html#d210427_qa
(*2)和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」バックナンバー 令和2年12月10日| 和歌山県ホームページ
http://wave.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/mailmagaform/backnumber/r021210.html
(*3)和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」令和3年4月22日
http://wave.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/mailmagaform/backnumber/r0304221.html
(*4)和歌山市「緊急事態宣言発出にかかる本市の感染対策について」
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/034/644/210424.pdf
(*5)仁坂吉伸広域連合長「予想外のことが、しかし大事なことを忘れずに」(令和3年4月8日)/関西広域連合
https://www.kouiki-kansai.jp/koikirengo/jyuminsankaku/mailmaga/reiwa2nendo_2/5759.html
(*6)ワクチンの共同購入の枠組み「COVAXファシリティ」に156か国が参加 | 公益社団法人 日本WHO協会
https://japan-who.or.jp/news-releases/2009-25/

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