すると時を経ずして、病院のある湯浅町で「ふるさと納税の返礼品をキャンセルされる」「観光客のキャンセル」といった状況が起こりました。 こういう時、事業者・経営者はどう考えるべきなのか?風評被害にくわしい、経営コンサルタントの初鹿野浩明さんにお話をうかがいました。 数か月で5割、2〜3年で8割まで回復する 初鹿野(はつかの)さんは茨城県在住で、経営コンサルタントの仕事のかたわら、風評被害について長年研究。 過去には東日本大震災をはじめ、長崎県の雲仙普賢岳やBSE問題などの風評被害について調査・研究し、各地で講演もされています。 初鹿野さんは、風評被害を「デマを含め、ネガティブな情報をマスコミなどが大きく報道することによって、一般市民の趣向が変化したことによって生じる被害」と定義された上で、 「過去の例からみますと、マスコミの報道がおさまれば数か月で5割程度は回復すると思います。2〜3年で8割ほどには回復していきます。ただ今回は全国規模で起こっていることですので、代替品移動が少なく、もっと少ない期間で回復するのではないかと考えています」 まずは身を守り、新たな取り組みを 経営者や事業者がまず考えるべきこととして、初鹿野さんは「災害が継続して続いている場合は、逆らわないで自分の身(お店)を守る」ことが大切だと言います。 「今洪水が起きているのに、洪水をせき止めようとしないことです」 初鹿野さんは自分の身を守るための具体的な方法として、 ▽お金を使わない ▽従業員には一旦休んでもらうといった、事業の一時的な縮小をはかる(編注・雇用調整助成金についてはハローワークで相談できます) ▽借入がある場合は、できれば金融機関に返済緩和の交渉を行う。ただし、条件変更にはリスクもある。 といったことを挙げられています。 そしてマスコミ報道がおさまってから、新たな取り組みをはじめるべきだとされています。 「業種にもよりますが、完全に回復するのは難しい場合もあります。下がった分を埋めるために、新たな商品やサービス、販売方法や生産方法を考えていくことが重要です」 「茨城県には『ほし芋』という商品があります。生の芋ですと1キロたり100円程度ですが、蒸して、干すことで2000〜4000円になります。原発事故の際には茨城のお茶農家が、お茶煎餅やお茶うどん、抹茶タルトなどをOEMで作りました」 キャンセルの一方で、「がんばれ」の声 湯浅町では町内の風評被害について調査をはじめていますが、担当者は「まだ戻ってはいないという感覚(3月2日時点)」と話しています。 はじめて感染が確認された13日の翌日から2週間で、町には、ふるさと納税について約100件の問い合わせがあったそうです。 問い合わせのうち4割は「返礼品を送らないでほしい」というもの。 さらに4割は「(受けとって大丈夫かなど)心配している」というものでした。 しかし残りの2割は「がんばってください」という、激励のものだったとのことです。
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