しかし昨年、所有者である同町出身の男性が逝去。周辺の土地は売却されることになりました。 文化的価値のある建造物を残すべく、関係者による努力が続いています。
「ナオミの家」はもともと兵庫県にあったもので、関東大震災後、関東から関西に移住した谷崎潤一郎が最初に居住した家屋。 谷崎はここで代表作のひとつ「痴人の愛」を執筆しました。「痴人の愛」には、この家屋がモデルと思しき描写もあります。 この家屋を有田川町に移築したのが、同町出身で、兵庫県で建設業ほか複数の会社を経営する則岡宏牟(ひろむ)さん。 則岡さんは出身地である有田川町に広大な土地を所有し、自身の膨大なクラシックカーやバイクのコレクション、実際に動くトロッコ列車などを収蔵。 一般公開も行われ、動くトロッコ列車に乗ることのできるイベント等も開催されていました。 私財を投じて解体保存 有田川町への移転を実現するも… 「ナオミの家」は老朽化でとり壊されることになっていましたが、谷崎の研究で知られるたつみ都志(とし)さん(武庫川女子大学名誉教授)らが保存活動を展開。 そこに協力を申し出たのが則岡さんでした。 平成19年に私財を投じて「ナオミの家」を一旦解体し部材を保管。一昨年、有田川町の自身の土地へ移築しました。 移築に際し、谷崎の住んでいた大正当時の姿を可能な限り再現。 書籍など谷崎ゆかりの品も展示され、地元のボランティアが案内役を勤めて一般公開も行われていました。 (1) (2)
[2]記事一覧へ [0]トップページへ戻る |