Arikaina 2025/9 津波避難、1割程度か[2]
「全員」にはほど遠く

カムチャツカ半島付近の地震 津波で避難指示も…避難した人、対象のおよそ1割程度か[2]


広川町役場前にある濱口梧陵(ごりょう)の像(9月撮影)。梧陵は1854年(安政元年)に発生した安政南海地震のさい、貴重な稲むら(稲の束)に火を付け、津波から逃げる人々を誘導したと伝えられています。

避難しても途中で帰宅
専門家「とっても危険です」

 本紙で各市町の担当者に話を聞いていますと、当初避難したものの、途中で帰宅してしまった人もいた、という話もよく聞きました。この点について此松さんは「とっても危険です」と話しています。

 「津波の場合は海で津波が反射するので、第2波、第3波の方が大きい津波になることが多いです。そのため第1波が引いたといっても、すぐに海辺へ行くことは大変危険です。場合によっては半日は高台にいなくてはいけません。避難指示が解除されるまで避難する必要があります。そのため長時間の避難を想定して非常袋を持っていく必要があります。飲料水などは重要です」

周りが避難していなくても避難
”空振り“を許せる文化を

 地震当日は、最大3メートルの津波が来ると予測されていました。実際には大きな津波はなかったものの、避難者が少ない中で大きな津波が来ていれば、大きな被害につながった可能性もあります。避難者を増やすためには、どうすればいいのでしょうか。

 「(今回の警報では)3メートルの津波の可能性があることを自分ごとにして、避難することを周りでも、共通認識する必要があります。特に周りが避難していないのに自分が率先して避難することは重要です。事前に企業、団体などではこういう場合にはどうするという共通なマニュアル的なものがあると動きやすいかと思います(カッコ内本紙)」

 此松さんはさらに、避難しても災害が発生しない、いわゆる”空振り“を許していくことが必要だと言います。

 「個人では限界があります。地域や社会全体で空振りを許せる文化にしていく必要があるかと思います。そのためにも地域などでとことん避難行動について話していくのが大事かと思います。そこで地域で共通認識して、さらに地域の作法まで上げてほしいです」

 各市町への取材では、今回の避難について検証を進めているという声も聞かれました。「今回の事例をとりあげつつ、避難が必要という活動をしていこうと考えている(湯浅町地域防災係)」「(今回の避難で)上がってきた課題をまとめている(広川町総務課)」県では8月19日の知事記者会見で、避難所のガイドラインを改正したり、新しい避難場所などの確保を考えたりしていきたいと話しています。

参考=和歌山県「第1回和歌山県災害対策本部会議 議事概要」(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/011900/d00220608_d/fil/gaiyouichi.pdf)/気象庁「令和7年7月30日08時25分頃のカムチャツカ半島付近の地震について(第2報)」(https://www.jma.go.jp/jma/press/2507/30b/kaisetsu202507301300.pdf)/和歌山市「(令和7年7月31日)津波注意報に伴う本市の状況」(https://www.city.wakayama.wakayama.jp/1007600/1007601/1065715.html)/稲むらの火の館「資料室 【稲むらの火】」(https://www.town.hirogawa.wakayama.jp/inamuranohi/siryo_inamura.html)/和歌山県「令和7年7月30日の津波警報に伴う被害状況等について(第2報)」(http://wave.pref.wakayama.lg.jp/news/file/43162_0.pdf)/和歌山大学「研究者詳細 - 此松 昌彦」(https://researchers.center.wakayama-u.ac.jp/html/100000660_ja.html)/和歌山県「知事記者会見 2025年8月19日」(https://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/press/07/20250819.html#d250819_qa)

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