Arikaina 2020/11 日赤がんセンター開設
総合病院ならではの、あたたかいがん診療を
来年1月、「日赤がんセンター」を開設 日赤病院の平岡院長に聞く

 日本人の死因第1位であり、2人に1人がかかるとされるがん。

日本赤十字社和歌山医療センター(以下日赤病院)では、来年1月に新たに「日赤がんセンター(以下がんセンター)」を設置します。

がんセンターや最近のがん治療の現場の状況について、日赤病院の平岡院長にお話をうかがいました。

日赤病院の平岡真寛(まさひろ)院長

がん治療は、いまや入院より外来中心
生活面のサポートも拡充


 がんセンターは日赤病院の本館2階に開設。がんの臓器別に13のユニットをもうけるほか、『がん看護外来』『がん薬剤師外来』などを設置。がんに関する機能を集約・強化し、包括的にがんの治療・支援をする体制をとります。

「意外かもしれませんが、今、救急にがんの患者さんがたくさん来ているんです(平岡さん、以下カッコ内同じ)」

治療技術の発達とともに、今やがん治療は入院ではなく外来が中心。それにともない、救急が増加しているそうです。

「昔は手術の際に2か月入院したりしていましたが、今はせいぜい一週間。抗がん剤治療もほとんどが外来です」

 患者や家族に対する支援の面でも、がんセンターではメンタルケアはもちろん、生活面のサポートを拡充していくとのことです。

「両立支援といって、自分の治療を受けながら生活する糧を維持していく。これは国も推進していますが、和歌山はまだそういう機能が十分ではないと思っています」

今までにも日赤病院ではがん患者さんのサポートで、自治体やハローワークと連携するケースもあったそうです。

「日本ではがんになったらあたかも自分の責任といった考えがあり、会社を辞めてしまう人も結構います。それは会社にとってもよくないし、本人にとってもよくありません」

女性の死亡率は低いものの、男性が…
がん死亡率、全国でも上位の和歌山


 和歌山県はがんの75歳未満年齢調整死亡率(平成29年)で、女性の死亡率は全国でもトップクラスの低さになっています。

ところが男性の死亡率は全国でもトップクラスの高さになっており、合計では全国で10位と、和歌山県全体の順位を押し上げる形になってしまっています(*1)。

「和歌山は自然環境や食事など、(がんの死亡率を下げる)有利な点はあると思います」という平岡さんですが、男性の高さについては

「基本は生活習慣です。日本は予防医学が進んでいまして、生活習慣がしっかりしていればがんの発生は減ります。

タバコや過度の飲酒、暴飲暴食、塩分の取り過ぎ、運動不足、肥満など、がんの要因と言われていることに気をつけていただければ、男性の順位も好転すると思います。なかなか難しいんですが…(苦笑)」

今や6割は治る病気
45歳を過ぎたら定期的な検診を


 予防のためには生活習慣とともに、定期的な検診が重要とのことです。

「一番はがんにかからないことですが、治療法は進歩しており、今はかかっても6割の人は救命できます。内視鏡手術だけで治る方もいますし、そういう方は終わったらもうけろっとしたものです。

はやく見つかれば治りやすいという点を、ぜひご理解いただきたいです。45歳を過ぎたら年1回誕生日になどと決めて、ぜひ定期的な検診を受けていただれば」

 放射線治療を専門とし、長年がん診療に携わってきたという平岡院長。がんセンターをつくりたいとの思いは、着任以来お持ちだったとのことです。

「高齢化の進行にともない、糖尿病などほかの病気を持つがん患者さんも多くなっています。当院であれば病院内部で連携し、がん以外の病気も一緒に診ていくことができます。

当院は、救急も『全例応需』をモットーにしています。高度な医療だけして終わり、ではなく、ずっと患者さんを支援する。そういうあたたかいがん診療を目指しています」

日赤がんセンターは、来年1月12日(火)にオープン予定となっています。

※日赤病院では、無料で相談できる「がん相談支援センター」をもうけています。治療のことだけでなく、療養や仕事面の不安といった生活に関わる相談も受付。日赤病院に通院していない方も利用できます。
平日9時〜16時、TEL.073・423・6207(直通)

(*1)和歌山県健康推進課「和歌山県のがんの統計」
www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/
041200/h_sippei/gannet/04/04.html
次の記事 [4]仁坂知事が密?パーティ
←このページのコード
有田・海南のフリーペーパー
Arikaina
2020/11号
[1]このページの一番上へ
[2]記事一覧へ
[0]トップページへ戻る