Arikaina 2021/7 土石流、気をつけるべきこと
来てから逃げても間に合わない
熱海で大きな土石流が発生 大雨の時に気をつけるべきことは?

 7月3日、静岡県熱海市で大規模な土石流が発生。多くの家屋が倒壊し、死者も出る大災害となりました。和歌山県でも、'11年には台風により大規模な土石流が発生しています。土石流や崖くずれの被害に対して、どんな備えをしておくべきなのでしょうか?

「防災わかやまメール配信サービス」の設定画面で有田大橋付近を表示したところ。山や崖の近くは多くのところで警戒区域に指定されており、四角いメッシュで情報のほしい場所を指定できます。

前兆現象、実際に気をつけるのは難しい

 政府広報のホームページでは、土石流の前兆現象として以下の5点をあげています(*1)。

・山鳴りがする
・急に川の水が濁り、流木が混ざり始める
・腐った土の匂いがする
・雨が降り続いているのに川の水位が下がる
・立木がさける音や石がぶつかり合う音が聞こえる

 しかし「前兆現象については、実際に気をつけるとなるとなかなか難しいと思います」と言うのは、災害・防災について研究している和歌山大学教授の江種(えぐさ)伸之さん。江種さんは'11年の紀伊半島大水害時の土砂災害についても分析されています。

「今回の熱海では雨が小康状態の時に発生しましたが、紀伊半島大水害の時は大雨で、しかも真夜中。外の状況がなかなか分からない状態でした」

さらに土石流は一旦発生すると非常にスピードが早く、「土石流が来てから逃げても間にあいません」とか。

「(土砂災害の危険のあるところでは)雨量が多くなったら、早めに避難を考えることが必要です。警戒レベル4が出ればすみやかに避難するのはもちろん、県の出す土砂災害警戒情報にも注意してください」

メールで自動的に土砂災害情報を取得できる

 おりしも和歌山県では、6月から土砂災害危険度情報についてメールで配信するサービスを開始しています。これは従来から雨量情報や避難情報を知らせていた「防災わかやまメール配信サービス」の中で、土砂災害情報についても知らせるようになったものです。

登録すると、地図の上を1km四方で区切った「メッシュ」を選択する画面になり、任意のメッシュを8か所まで選ぶことができます。なお県の砂防課によると、以前から「防災わかやまメール配信サービス」に登録していた人は、新たにメッシュを登録する必要があるとのことです。

 実際に土砂災害警戒情報が発表されると、注意/警戒/非常に危険/極めて危険の4段階でメール通知。気象庁のホームページによると、「非常に危険」は命に危険が及ぶ土砂災害がいつ発生してもおかしくない状態、「極めて危険」は、すでに土砂災害が発生していてもおかしくない状態であり、この状態になる前に避難しておくべきとされています。

▽防災わかやまメール配信サービス=和歌山県トップページ(www.pref.wakayama.lg.jp)から、上部の検索窓で「防災わかやま」で検索→検索結果の「防災わかやま:災害に備えて」をクリック→ページ中段の「防災わかやまメール配信サービス」をクリック

▽わかやま土砂災害マップ(土砂災害警戒区域・特別警戒区域が確認できます)=和歌山県トップページ(www.pref.wakayama.lg.jp)から、上部の検索窓で「砂防課」で検索→検索結果の「砂防課」をクリック→ページ中段の「どこが危ないのか わかやま土砂災害マップ」をクリック

(*1)モバイル政府広報オンライン「土砂災害の前兆現象にも注意しましょう ー 暮らしに役立つ情報」(www.gov-online.go.jp/k/ contents/useful/2_03.html)/参考=熱海市公式ウェブサイト・報道発表資料(www.city.atami.lg.jp/1011337.html)/気象庁「土砂災害警戒情報・土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)」(www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/doshakeikai.html#a)

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