Arikaina 2020/4 パブコメ募集わずか12日間
応募ページも早々に削除
県が洋上風力発電のゾーニングでパブコメ募集…するものの、募集期間わずか12日間

 和歌山県が進めていた、海の上で風力発電を行う「洋上風力発電」のゾーニング事業。

今年2月、検討会でまとめられたゾーニング案に対するパブリックコメント募集が行われましたが、募集期間はわずか12日間。

また募集期間が終了すると、ウェブページも早々に削除されてしまい、現在はゾーニング案も見られない状態になっています。

洋上風力発電の例 ※写真はイメージです

 環境省のマニュアルによると、ゾーニングとは「風力発電の導入を促進しうるエリア、環境保全を優先するエリア等を設定する」もの(*1)。

県では洋上風力に関して昨年2月から検討会を立ち上げ、ゾーニングを実施。

今年2月、検討会でまとめられたゾーニング案に対して、県民から広く意見を募集するパブリックコメント(以下パブコメ)を実施していました。

県ホームページ内にパブコメを案内するページが用意され、応募方法やゾーニング案、各種調査に関する資料が見られるようになっていました。

 しかし意見の提出期間は、2月17日〜2月28日までのわずか12日間。

行政手続き法では、意見の提出期間は原則として案の公示日から起算して30日以上となっていますが(*2)、それより大幅に短くなっています。

同法ではやむをえない理由がある時はその理由をあきらかにして期間を短くできるとしていますが、ゾーニング案、およびパブコメのページでは、特段理由はあきらかにされていません。

 さらに期間が終了すると、県はパブコメのページを早々に削除。

3月1日時点でページにアクセスすると『ご指定のページまたはファイルが見つかりませんでした。』となり、ゾーニング案や、各種資料も見られない状態になっています。

本紙では県への取材時に「(ゾーニングされている海域を示した)図を掲載していいか」と聞いてみましたが、「できればやめてほしい(県産業技術政策課)」との回答でした。

 公開されていたゾーニング案では、由良町〜串本町までの海域で、陸地から30キロの範囲でゾーニングを実施。

おおむね御坊〜串本にいたる、陸地から7キロ〜30キロほどの広い海域を調整エリア(調整することで洋上風力を建設できる海域)とゾーニングしています。

低周波音による影響「検討していない」

 県内の陸上に設置されている風力発電施設では、周辺住民から息苦しさや手の震えなど、風車からの低周波音(人間には聞こえないような低い周波数の音)によるものと疑われる被害を訴える人が相次いでいます。

しかし今回のゾーニング案では「『これまでの国内外で得られた研究成果を踏まえると、風力発電施設から発生す(原文ママ)超低周波音・低周波音と健康影響については、明らかな関係を示す知見は確認できない。』とされている」とし、超低周波音・低周波音による影響は検討していないとしています。

 削除されたパブコメのページでは、早くも3月中旬にはゾーニングマップを公表する予定としていましたが、4月6日現在、県のホームページでマップは公表されていません。

なお県内ではすでに、東京のパシフィコ・エナジー(株)社による洋上風力発電計画が持ち上がっています。

*1 環境省_「風力発電に係る地方公共団体によるゾーニングマニュアル」の公表について
https://www.env.go.jp/press/105276.html

*2 パブリックコメント制度(意見公募手続制度)について|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
https://www.e-gov.go.jp/help/public_comment/about_pb.html
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