Arikaina 2021/7 有田地方、お産施設がゼロに
とうとうお産できるところがゼロに
有田川町の医療機関が分娩を休止へ 有田地方、お産ができる施設がゼロに

 お産(分娩)ができる医療機関が1か所しかない有田地方(有田市・有田郡)。ところがその唯一お産ができた医療機関が、年内いっぱいで分娩を休止することが分かりました。

これにより、有田地方ではお産ができる施設がゼロになることになります。

 有田地方では'19年までは、有田市立病院と、有田川町にある民間の医療機関が分娩をあつかっていました。しかし昨年1月に有田市立病院が分娩を休止し、お産ができるのは残る1か所のみとなっていました。

 広川町では6月の町議会で、有田地方からお産ができる施設がなくなる問題についてとりあげられました。町によると、情報が入ったのは今年4月ごろ。有田地域の市・町の間で、対策について話しあいをしているとのことです。

 有田地方では地元の有志が「有田地域の医療の充実を求める会」をつくり、5年前から活動しています。昨年12月には有田市立病院でのお産の再開などを求めて署名活動を行い、県に対して5874筆の署名を提出しました。同会でも最近になって、有田川町の施設がお産を休止することを知ったそうです。

「産婦人科医が足らないことが一番の問題なのですが、(行政で)その見通しがどうなっているかが分からない。私たちは安心して近くで出産でき、若いお母さんが親の援助を受けながら出産できる状態にしたいと思っています。(有田地方の)1市3町が力をあわせて、病院を充実させてほしい(同会)」

政府統計によると、'19年の有田地方の出生数は416人となっています。

有田市立病院は国の支援を受けることに 指定管理に移行か

有田市立病院

 一方、有田市立病院は4月に公立病院を支援する事業の対象となり、国から支援を受けることが決まりました。今後、(公社)地域医療振興協会により、経営への助言などの支援を受けることになります。同病院によると、6月から支援がスタートしているとのことです。

 さらに有田市では6月の市議会で、同病院の設置に関する法律を一部改正。病院を指定管理(公共の施設を民間の企業や団体が管理する)に移行できるように改正され、可決されたとのことです。

(公社)地域医療振興協会は全国各地で病院の指定管理を請け負っており、近隣では大阪府で1か所・奈良県で7か所の医療機関を指定管理で運営しています。県内では今のところ、同協会が指定管理している医療機関はありません。

 有田市立病院によると今回の支援は2年間で、'23年3月までの協定。同病院では「(指定管理に移行する場合は)それまでの間に、いつから指定管理になるのかが決まると思います」と話しています。

参考=(公社)地域医療振興協会運営施設一覧(www.jadecom.or.jp/hospital/ereaindex.html)/政府統計の総合窓口「人口動態調査 人口動態統計 確定数」(www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411564)/総務省「公立病院の令和3年度地方財政措置等」(www.jmha.or.jp/contentsdata/shokaigi/20210114soumushou.pdf)/広川町「令和3年第2回(6月)定例会一般質問」(www.town.hirogawa.wakayama.jp/gikai/pdf/R3.6.ippannsitumon.pdf)

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