Arikaina 2021/10 巨大風車に市議会が反対
市議会が反対姿勢を明確に

ゴルフ場の巨大風力発電所計画 海南市議会が反対する決議書を可決

 海南市〜有田川町にまたがる付近のゴルフ場に計画されている、巨大な風力発電所。周辺住民の間では不安が広がるとともに、反対運動が起こっています。9月には海南市の住民が建設に反対する請願書を市議会に提出し、議会で決議書が可決されました。

反対看板写真
海南高原カントリークラブの近くに立つ反対看板

「風車が巨大すぎる」
周辺の7地区が請願書を提出

 計画されているのは、東京の日本風力エネルギー(株)による「(仮称)有田川海南風力発電事業」。海南市と有田川町のちょうど境界付近に位置する「海南高原カントリークラブ」に、4000kW超の風力発電機(風車)を12基設置するという大型の計画です。

 請願書を提出したのは、海南市の扱沢・別所・東畑・海老谷・赤沼・上谷・ひや水の各自治会。請願書では再生可能エネルギーの推進には理解を示しつつも、今回の計画は「風車が巨大すぎる上、集落への距離が近すぎ、健康被害が出る恐れが大きい」「風車の基礎工事にともなう残土処理の問題や土砂崩壊が懸念される」などの理由で反対するとしています。

「市民からしたら耐えられない規模」
「反対せざるを得ない」

 請願は市議会の教育厚生委員会で、9月16日と22日の2日間にわたって審議されました。請願の紹介議員となった中家悦生市議は「市民からしたら耐えられない規模のもの。率直にそういうことをぶつけさせていただいている」「(事業者側は)何がなんでもやろうとしている、そういう風に感じている」と、請願の採択を訴えました。

ほかの市議からは反対はなかったものの、「議決をするだけでは何の効力もない。こういうことで反対決議したと分かってこそ効果が出てくる。そのことを分かっていただきたい(栗本量生市議)」といった決議の意義や位置づけに関して慎重な意見も相次ぎ、市の環境課の職員が委員会に呼ばれ、建設に必要な環境調査の手続きについて説明する場面もありました。

 請願は9月22日に委員会で「採択すべきもの」となり、28日の定例会で採択。さらに議案「(仮称)有田川海南風力発電事業に反対する決議書(案)」が提出され、可決しました。決議書では、請願にある反対理由を「地元住民の立場からすれば当然の思い」とし、「事業に対して反対せざるを得ない状況にあると判断するものである」としています。

一名の議員が「異議あり」
…が、反対討論は行わず

 定例会では請願の採択が諮られた際、宮本勝利市議が「異議あり」と叫び、反対を表明しました。しかし同市議は反対討論は行わず、決議書の採決も欠席。定例会終了後に反対の理由をうかがうと「どっかでエネルギーつくっていく考え持たなあかん。風力がええいうようなことを言うて反対するのは一貫性がない」などと返答。

反対討論を行わなかったことについては「体わりさけねえ、立ってられやんのよ」と話し、筆者が「理由を言えば座ったままでもできるのでは」と尋ねると「そんな決まりあるんかどうか知らんけど、一応そうよ。本会議で座って発言したことない」と話していました。あとで議会事務局に確認したところ、申し入れがあれば、座ったままでも発言できるとのことです。

 同市議以外の市議は、全員が請願の採択に賛成。請願を提出した住民の一人は「風車ができたら、周辺には住めなくなるおそれがあると考えている。反対運動を続けていきたい」と話していました。反対看板の設置のほか、署名活動も進める予定とのことです。

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