IRカジノの資金のため、県の職員や議員が企業訪問?県議会で問題に県が進めている、マリーナシティへのIRカジノ誘致。昨年6月には事業を実施する事業者が、カナダに本社を置くクレアベストグループ(以下クレアベスト社)に決まりました。しかし同社は協力企業あつめや資金調達で難航しているとみられ、県では11月から予定していた公聴会やパブリックコメントを延期しています。 そんな中、昨年11月に開催された県の特別委員会で、クレアベスト社が企業を訪問したさいに県の職員が同席したり、県議会議員が県の職員と企業を訪問したりしていたことが分かりました。 12月の県議会では複数の議員がこのことをとりあげ、県の担当者からは「融資を要請ということではなく、お考えをお聞きした」「もともと出資する意向のある企業であり、その確認を行った」などといった、苦しい答弁が相次ぎました。
「A銀行に1回、B銀行に1回」
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クレアベスト社によるIRカジノのイメージパース(事業者提案の概要より) |
林議員は「(議員の同席は)貸金業法違反になるのではないか」とも質問しました。これに対し田嶋理事は「『業』として融資をあっせんしてお金をいただくということをしているわけではありませんので、まったく関係ない」などと答弁。
しかしこれも後日、本紙が県のIR推進室に「報酬や謝礼を受けとっていないので違反にならないということか」と聞いたところ、「『業』として継続し、反復してやっているわけではない」と、議会のときとは違う理由で「違反ではない」と話していました。林議員は本紙の取材に、「報酬がなくても貸金業法違反になる可能性がある」と話しています。
クレアベスト社は昨年11月の特別委員会で、IRカジノの参加企業や資金調達の全体像を、1月下旬にあきらかにすると"約束"しています。IRカジノは4月には国に対して計画を申請する必要があり、これにあわせ、2月には県議会で計画案が審議・議決される予定です。年内には、国がIRカジノを開業できる区域を認定(最大3か所)するとみられています。
12月下旬に本紙が県IR推進室に聞いたところでは、2月の議会前にそれらが実施されるかどうかは、まだ決まっていないとのことです。県議会議員に対してすらさほど情報が開示されない中、議決を前に県民に説明したり意見を聞いたりする時間は、ほとんど残されていないという状況になっています。
参考=和歌山県「『和歌山県特定複合観光施設設置運営事業』の事業者公募における優先権者候補の選定について」(wave.pref.wakayama.lg.jp/news/kensei/shiryo.php?sid=33302)/観光庁「IR整備法に基づく基本方針の決定等について」(www.mlit.go.jp/kankocho/news03_000208.html)/和歌山県「和歌山県IR基本構想~和歌山県が目指すリゾート型IR構想について〜」(www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/020100/ir/torikumi_d/fil/koso.pdf)/和歌山県議会録画配信 令和3年12月9日(木)・12月13日(月)(kengikai-tv.pref.wakayama.lg.jp/SubResultScreen.asp)/YouTube「Sawa Yasu 2021 12 13 林議員(本会議)」(www.youtube.com/watch?v=3BqSdXrEyxA)/和歌山県「事業者提案の概要【クレアベスト】」(www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/020100/ir/top_d/fil/teian_gaiyou.pdf)
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