Arikaina 2022/7 海南と有田川、給食無償化否定
実施する自治体は増えているものの

海南市と有田川町、議会で給食無償化を否定


 県内の市町村で広がる、学校給食の無償化。今年4月からは、新たに湯浅町や紀の川市が無償化に踏み切りました。この広がりを受け、無償化していない海南市と有田川町の6月議会で、給食無償化が一般質問でとり上げられました。しかし実施については両市・町とも、かなり消極的なようです。

海南市長「優先順位の問題」

 6月14・15日に開かれた、海南市議会の一般質問。3人の議員が、給食無償化について質問しました。

 田村秀明議員は無償化する自治体が増えており、さらに和歌山市や岩出市・橋本市でも市議会で無償化がとり上げられているとして「来年4月には、無償化 する自治体がさらに増える可能性がある」「周辺の市町村が無償化になって『海南市てなんよう』と、不公平感が生まれるのでは」などと質問しました。

 これに対し市の教育委員会は、無償化は「大切な課題であると認識」してはいるものの、給食費を無償化することで「投資的経費などが減少し、今後の施設整備などに影響が出ると考えられます」などと答弁。また神出政巳市長も、「重要な施策であると認識」してはいるものの、「保護者の方々がご希望であることは、まず子供たちのためには施設の耐震化や空調設備の整備、トイレの洋式化率アップ、またICT教育の推進等が優先順位の上位であると認識をしております」などと答弁しました。

 岡義明議員は、剰余金を使えば無償化に必要な予算(約1億6千万円)を捻出できると主張し、「市長さんどうなんよ。ほかは周り(の市や町が)ぜーんぶ(無償化)できても、しない言うことですか」と質問しました。

 これに対し神出市長は「他の市町村はそれぞれ事情があり、政策の優先順位で判断されているものと思います」とし、「投資的経費は大切に確保したい」と、主に予算の事情で実施は難しいという認識を示していました。

 一方、東方貴子議員は「無償化が政争の具になっている」と指摘。「給食に対し、量が少ないとか、肉が少ないとか、ご不満の声をいただくことも少なからずある」とし、「安かろう悪かろうではいけない。海南市のブランドにもなる給食をめざしてほしい」などと、給食の充実を訴えました。ただし子どもがたくさんいる家庭については、給食費の支援を求めました。

有田川町長「給食費ぐらいは親が持つんが当然」

 6月16日に開かれた有田川町議会。堀江眞智子議員が、「学校給食無償化を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか」と質問しました。

 これに対し中山正隆町長は、「お金ないさけケチってやってるんと違います。(中略)子育てについては一生懸命やってます」とした上で、「親子のつながりて全然なくなってきている現状の中で、せめて自分の子どもが食べる給食費ぐらいは親が持つんが当然だと思ってます。(中略)根本的にはそういう考えで、給食費は無償にはしませんということで」と答弁していました。

 これに対し堀江議員は「子育てに関しても、そのことが町の人口を増やすひとつの目玉になるという風に思っている」として「口はばったい言い方ではありますが、もし私が町長だったら、今の機会に給食費の無償化をする」と発言していました。

 中山町長は'18年の町議会でも、給食無償化について聞かれて「私は、母親がつくってくれた弁当で親子のつながりができた。お金ではない。(中略)私が町長の間は、無料化はしない」と答弁しています。

 有田・海南地方では広川町が中学校の給食を、紀美野町と湯浅町が小学校・中学校とも給食を無償化。前述の田村議員によると、県内に30ある市町村の内、10市町村が給食無償化を実施しているとのことです。また和歌山市では市長選を控えている尾花正啓市長が、中学校の給食費無償化を公約に掲げています。

参考=Arikaina 2022・4/海南市議会 議会中継 令和4年6月14日・15日(smart.discussvision.net/smart/tenant/kainan/WebView/rd/council_1.html)/有田川町議会 令和4年6月定例会(第2日 6月16日(www.kensakusystem.jp/aridagawa-vod/cgi-bin4/GetHTML.exe?uiknwnpvvgr5uidt4a/R040616TEIREI.html/0/10/1/0/0#hit1)/尾花まさひろオフィシャルホームページ「政策」(www.obana-masahiro.jp/policy.php)/有田川町議会広報「かわら版」第52号(www.town.aridagawa.lg.jp/material/files/group/12/52gou_all.pdf)


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