海南市・わんぱく公園周辺の整備事業　事業者のＫＡＤＯＫＡＷＡ、会長が逮捕も…市「調査はしない」

　海南市が整備を進めている、同市大野中・わんぱく公園周辺の整備事業。市は昨年、整備を行う事業者を公募し、大手出版社の(株)ＫＡＤＯＫＡＷＡを事業者として選定しました。

　しかし９月、東京地検特捜部が同社の会長や元専務らを逮捕・起訴したと、大手メディアが一斉に報道。昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックのスポンサーに同社が選定されるよう、多額の賄賂を贈った容疑がかけられている、とされています。ただ海南市では昨年の選定について、特に調査をする予定はないとのことです。

※記事の内容は10月６日時点のものです。

ほかの応募者や、選定の中身は非公開
市「調査の必要性は考えていない」

　海南市では昨年７月から整備事業の事業者を公募し、(株)ＫＡＤＯＫＡＷＡをふくむ４者が応募。７月〜11月にかけて３回にわたって選定委員会が開催され、審議の結果、11月に同社が事業者として選定されました。選定委員会では、大学教授や商工会議所会頭らが委員を務めました。

　市ではホームページで募集要項や選定委員会の委員、選定の経過などについては文書を公開していますが、応募したほかの３者とその提案の中身や、選定委員会の議事録は公開していません。

　市都市整備課では「公募前に設定していた採点基準に基づいて選定されている。選定委員会の委員も（事前には）公表していないので、事業者も接触はできない。（選定に関する）調査の必要性は考えていない（カッコ内本紙）」としており、事件後も(株)ＫＡＤＯＫＡＷＡや委員と、特に話はしていないとのことです。

広がる指名停止措置
市「(辞退は)ないと思っている」

　事件後、横浜市・栃木県・岐阜県など、各地の自治体では(株)ＫＡＤＯＫＡＷＡに対して入札の指名停止措置をとる動きが相次いでいます。

海南市では、仮に(株)ＫＡＤＯＫＡＷＡが市の事業を辞退した場合にはどうなるのか？という本紙の質問に「そうなれば公募をやり直すことになると思いますが、そういったことはないと思っています(市都市整備課)」と話していました。事件については「裁判などの動向を注視していきたい(同)」とのことです。

　市の募集要項によると、整備事業は来年、市議会で指定管理者選定の議決が行われる予定。'25年度に新しく整備された公園などが全面的にオープン、というスケジュールになっています。

参考＝時事ドットコム「ＫＡＤＯＫＡＷＡ会長を逮捕　組織委元理事への贈賄容疑—五輪汚職・東京地検」(www.jiji.com/jc/article?k=2022091400803&g=soc)／読売新聞オンライン「逮捕の角川歴彦容疑者、創業家出身で30年近くトップの座」(www.yomiuri.co.jp/national/20220914-OYT1T50252)／朝日新聞デジタル「KADOKAWAの角川歴彦会長を逮捕　五輪汚職事件で贈賄容疑」(www.asahi.com/articles/ASQ9G4WN9Q9GUTIL01G.html)／海南市「（仮称）中央防災公園整備基本計画（平成30年度策定・令和2年度変更）」(www.city.kainan.lg.jp/material/files/group/23/kihonkeikaku_202006henkou.pdf)／海南市「（仮称）中央防災公園等整備に伴う活用事業者公募事業募集要項」(www.city.kainan.lg.jp/material/files/group/23/210721_kainan_youkou.pdf)／海南市「（仮称）中央防災公園等整備活用事業者選定結果」(www.city.kainan.lg.jp/material/files/group/23/senteikeka2.pdf)／横浜市「指名停止措置一覧」(keiyaku.city.yokohama.lg.jp/epco/servlet/p?job=MeiboTeishiList)／岐阜県「入札参加資格停止措置について（Ｒ４年９月22日）」(www.pref.gifu.lg.jp/site/pressrelease/248771.html)／栃木県「指名停止措置について」(www.pref.tochigi.lg.jp/i02/pref/nyuusatsu/sankashikaku/1268610969383.html

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