Arikaina 2023/2 救急車の出動が激増
まだまだひっ迫が続くか

「コロナが収束しても、減少するとは考えられない」 救急車の出動が激増 和歌山市消防局に聞く


 2月に入り、ようやく陽性が確認される方が減少してきたコロナの第8波。しかし救急のひっ迫は続いており、厚労省もひっ迫回避に向けて取組を進めるよう自治体に通知しています。最近のひっ迫状況について、和歌山市消防局でお話をうかがいました。
※記事の内容は2月初旬現在のものです。


和歌山市消防局 中消防署の救急車(2/1撮影)

出動件数、昨年は激増
過去最高を記録する見通し

 多忙な中、取材に応じてくださったのは和歌山市消防局警防課の消防司令・有松和彦さんです。有松さんによるとコロナ禍がはじまってから救急の出動件数は減少していたものの、昨年('22年)は増加に転じ、過去最高となる見通しとのことです。

「暫定値ですが、出動件数はおととし('21年)から2479件増加し、21404件となる見通しです(有松さん)」今年1月もまだ暫定値ではあるものの、すでに昨年の1月を超える出動件数を記録しており、増加傾向が続いているとのことです。

受入困難事案、コロナ前の6倍に
現場への到着時間も延長傾向

 出動件数が多くなっていることに加え、コロナの流行により医療機関のベッドが埋まり、救急の受け入れ先がなかなか決まらない「救急搬送困難事案(以下困難事案)」も増加しています。

 消防庁の統計によると、和歌山市消防局では12月26日〜1月1月の週では困難事案は16件(前年同期比167%、コロナ前の'19年同期比で+7%)でしたが、1月23日〜1月29日の週には22件(前年同期比214%、'19年同期比で+633%)と増加。コロナ前の'19年同期と比べると、実に6倍以上もの件数となっています。

「コロナの影響だけでなく、出動件数自体が伸びています。コロナが収束して行っても困難事案が減少するとは考えられない状況です(有松さん)」有松さんによると、昨年は受け入れ照会回数16回という事例もあったそうです。

 出動件数が増加することで、救急隊が現場に到着するまでの時間や、医療機関に到着するまでの時間にも影響が出てきています。「昨年のデータはまだ集計中ですが、(現場や医療機関への到着時間は)あきらかに延長しています(同)」通常は要請があれば一番近い消防署から出動しますが、ほかの消防署から出動することも多くなっているとのことです。

16時間勤務のあと、さらに8時間

 出動件数の増加に加え、コロナが広がると感染する救急隊員も出てくるため、人員のやりくりで対応しているとのことです。

「救急車は基本3人で活動しますが、続く勤務で1人足りないと、16時間勤務のあとでそのままさらに8時間勤務し、さらにその次の勤務から別の1人が8時間早く出勤して、といった形で対応しています(有松さん)」

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