Arikaina 2023/2 広川町で恐竜化石
さらなる発見も期待大!

広川町で恐竜化石を多数発見 化石発掘イベントを開催


 1月、県立自然博物館は恐竜をふくむ脊椎動物(せきついどうぶつ=背骨を持つ動物)の化石を多数発見したと発表しました。発見場所は広川町の白木海岸。どの化石も同じ地層で発見され、同館では今後も多くの化石が発見される可能性があるとしています。
※記事の内容は2月初旬現在のものです。

有田市出身の御前明洋さん、モササウルスに続き大発見!

 最初に発見のきっかけをつくったのは、有田市出身で、現在北九州市立自然史・歴史博物館の学芸員として古生物を研究している御前明洋さん。昨年3月、今回恐竜が見つかった地層(約1億3000万年前)でワニ類の化石を発見し、県立自然博物館にさらなる調査をもちかけました。御前さんは'06年にも、有田川町で大型は虫類「モササウルス」の化石を発見しています。

多数の骨が見つかる「ボーンベッド」
恐竜の歯だけでなく、骨の化石も?

発見されたスピノサウルス類の歯(写真提供:県立自然博物館)

 今回の発表によると、昨年5月・9月の計8日間の調査で脊椎動物の化石18点(うち恐竜の化石4点)を発見しました。「恐竜どころか脊椎動物の化石も、普段は当博物館で年に1〜2点発見されるかどうかです(県立自然博物館の小原学芸課長、以下カッコ内同じ)」。

化石が見つかる地層の中でも、骨の化石が多く見つかる地層はボーンベッド(骨化石包含層)と呼ばれており、今回見つかった地層も「ボーンベッドと言っていいと思います」

 県内では、これまで恐竜の化石は2点発見されていました。いずれの化石も、湯浅町で転石から発見されていたものです。しかし今回はすべての化石が同じ地層から見つかったため、ここを発掘すれば「さらに多くの恐竜化石が見つかる可能性が高い」とのこと。

今のところここで見つかった恐竜化石はすべて歯の化石ですが、ほかに見つかった化石のうち、恐竜の骨らしきものも確認されているとのことです。

さらなる発見も期待大!
…ながらも、ネックは予算

 今回見つかった恐竜の歯の化石は、イグアノドン類の歯が1点/スピノサウルス類の歯が1点/獣脚類(肉食恐竜)の歯が2点の計4点。

中でも映画「ジュラシック・パークIII」などで人気の高いスピノサウルス類は世界的にも部分的な化石しか残っておらず、今回の地層を調べることで「(歯以外の骨の化石が見つかる可能性も)十分ありえるかなと」とのことです。

 同館では、重機などを使って大がかかりな発掘をすれば『さらなる恐竜化石を発見できる可能性が高い』としています。小原さんによると前述のモササウルスのときは国の予算を使うことができ、重機を使った発掘や、人員を配置してのクリーニング調査ができたとのこと。しかし今回は、今のところは県に予算を求めていくことになるとのことです。

 小原さんによると岩石は細かく割って調査していくため、博物館に持ち帰っている岩石の調査を終えるだけでも「まだまだ時間がかかる」とのこと。今年度は地層から持ち帰った岩石の調査を進め、再来年度、さらなる発掘を行いたいとしています。

スピノサウルスの復元イラスト
原著作者: Mariolanzas,2019

※トリミングを加えています
※ライセンスは継承されます
Creative Commons — 表示 - 継承 4.0 国際 — CC BY-SA 4.0
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.ja

次ページ「恐竜出てきた近くで体験」

(1) (2)


次の記事
感染してるかも、と思ったら…

前の記事
救急車の出動が激増


←このページのコード

有田・海南のフリーペーパー
Arikaina
2023/2号