Arikaina 2023/10 採用試験変更に懸念の声
どういう基準で、誰が採点するのか?

県、職員採用試験を大幅に変更「コネ採用増えるのでは」ネットで懸念の声


 県は10月3日、来年度から職員の採用試験を大幅に変更すると発表しました。法律や行政などの専門知識を問う、いわゆる「公務員試験」を廃止し、面接や論文を重視する採用にするとしています。県では「より多くの方に受験していただけるよう」変更したとしていますが、採用されるかどうかは担当者の主観に大きく左右されることになり、ネット上では「コネ採用が増えるのでは」といった懸念の声が上がっています。

和歌山県庁(10/6撮影)

 県の発表によると、来年度の職員採用から専門知識を問う試験を廃止。代わりに、民間企業の採用試験でもよく使われている「SCOA」という試験を採用。「SCOA」試験に合格すると面接(一部は論文も有)に進みますが、採用するかどうかは「SCOA」試験の点数は関係なく、面接と論文のみで判断されるとのことです。県は発表の中で「専門試験を行わないため、特別な公務員試験対策が不要」としています。

 従来の公務員試験で必要だった専門知識がなくても公務員になれることになりますが、県人事委員会では、「(そうした知識は)必要であれば、入ってから学んでいただく」と話しています。

全国でおよそ20%の自治体が公務員試験を廃止
「職員の質が落ちた」"ぼやき"も

 採用試験で公務員試験を廃止し、面接重視に切り替える自治体は全国的に増加しています。(公財)日本都市センターが昨年発表した文書によると、採用枠の一部の見直しも含めれば、全国の約20%の自治体で教養試験や専門試験、論文試験など(いわゆる公務員試験)が廃止されているとのことです。

 代わりに広がっているのが、今回県が発表したような面接重視の採用試験。先の論文の中ではこうした試験を「受験者負担軽減型の採用試験」と呼んでいます。

 しかしこうした採用に切り替えることで、採用される"職員の質"に疑問を投げかける声も上がっています。

 神奈川県小田原市では'11年から、一次試験の筆記試験を廃止。地元紙の「タウンニュース」は当時、これにより申し込みの数が大幅に増加したと伝えています。 しかしその2年後の'13年には地元の神奈川新聞が、市の新人職員による不祥事が相次いでいるとして「市が『人物重視・面接重視』の狙いで導入した職員採用方式の実効性が早速問われることになった」と記事にしています。


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