Arikaina 2024/1 意外に安い?耐震改修
それほど競争率は高くない?

工事費100万ほどで、補助率80〜90%も 意外に安くできる?耐震改修工事[1]


 お正月の日本を襲った、震度7の大震災。1月6日現在、石川県では輪島市・珠洲市の住家の被害について「多数」とのみ発表しており、依然として、全貌をつかめないほど多くの家屋に被害が発生していることがうかがえます。

 住宅、特に古い住宅を倒れにくくするために必要なのが耐震改修工事です。しかし改修工事となると「かなりお金がかかりそう…」「古い家だし…」そう思ってしまう方も多いのでは。(一財)日本建築防災協会によると、2階立ての木造住宅でいちばん多いのは100〜150万円ほどの工事。

しかし市や町による補助を活用すれば、場合によっては自己負担が10万円ほどで済む場合も。さらに耐震改修工事をすれば翌年の固定資産税が半額になる場合もあり、こうした制度をうまく活用すれば、かなり安く済ませることもできそうです。有田・海南の市・町によると、意外にも?こうした制度にそれほど申し込みがない実態も分かってきました。


1月5日、石川県内灘町。標識や電柱だけでなく、道路沿いの住宅がすべて傾いている様子がうかがえます。(国土交通省TEC-FORCE(テックフォース)撮影)


耐震改修にかかる費用が
設計20万円+改修工事100万円の場合

耐震改修工事に要する経費の2/5を補助
100万円×2/5=40万円

耐震改修工事に要する経費の3/5+設計費を補助
100万円×3/5+20万円=80万円(限度額66万6千円)

補助金合計106万6千円

個人の負担額
13.4万円(補助率約88.8%)

有田市が紹介している補助例
「令和5年度 有田市住宅耐震改修事業のご案内」より
https://www.city.arida.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/001/032/taishin_annai2023.10.pdf

まずは耐震診断
木造住宅は補助で基本無料

 耐震改修工事を受ける前に、まず実施するのが耐震診断です。専門家が建物を診断し、耐震性能を評価します。耐震診断にも市や町による補助があり、多くの場合、木造住宅は無料で耐震診断を受けることができます(非木造の場合も、費用の3分の2ほどの補助を受けられる場合があります)。

 また耐震診断で補助を受けたからといって、必ず工事をしなければならない、というわけではないようです。「(診断だけで終わっても)構いません(広川町総務課)」

補助を受けられれば、
10〜30万ほどでできるかも?

 (一財)日本建築防災協会がホームページで公表している資料によると、住宅の耐震改修工事でもっとも多いのは100万〜150万円ほどの工事。補助金額はどこの市・町でも上限は116万6千円となっており、これは国からの予算などにより決まっているとのことです。ただし、補助金額の算定方法は市・町により違いがあります。

 有田市が事業の案内で紹介している補助例では、設計・工事の合計費用が120万円のケースで106万6千円を補助。自己負担金はわずかに13万円ほどとなり、費用のほとんどを補助でまかなえることになっています。

 もちろん工事の規模により補助される金額は変わってくるものの、「(補助額は)かなりまちまちですが、補強工事で(全体で)何十万円とかですと、ほぼ自己負担なしという方もいらっしゃいます(海南市建設課)」「規模にもよりますが、補助率が8割・9割ほど出る可能性もあります(紀美野町総務課)」など、かなり"出る"ケースもあるという声も聞かれました。


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