Arikaina 2024/8 風車で天然林がピンチ?[1]
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わざわざ自然の残っているところを開発?
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自然度の高い天然林がピンチ?広川〜日高地方の巨大風力発電所計画[1]
広川町〜日高川町にかけての山間部で稼動している風力発電所「白馬ウインドファーム」。これをとり壊し、新しい風力発電所を建設する計画が現在進められています。7月〜8月にかけて県による事業の審査会が3回開催され、事業者側は地域に残る天然林や保安林について、伐採する可能性を否定しませんでした。審査会からは、不安視する声が上がっていました。
「(仮称)新白馬風力発電事業」のおおまかな事業実施区域。黄色が現在稼動している風車が建っている地域で、JR東日本はここに加え、さらに赤色の部分を含めて事業実施区域としています。
(JR東日本エネルギー開発(株)「(仮称)新白馬風力発電事業 環境影響評価方法書 説明資料」より本紙作成
地図データ:(C)OpenStreetMap contributors
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8月2日に南海和歌山市駅ビルで開催された審査会
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知事「自然度の高い森林の伐採を避けること」
事業者「可能な限り回避できるよう検討する」
事業の名称は「(仮称)新白馬風力発電事業」。計画しているのは、東京に本社を置くJR東日本エネルギー開発(株)
(以下JR東日本)です。現在風車の建っている広川町・日高川町から、さらに日高町や御坊市にまで及ぶ広範囲を事業実施区域とし、現在のものよりはるかに巨大な風車を14〜17基設置するとしています。
昨年7月、岸本知事はこの計画に対して「天然林等の自然度の高い森林の伐採を避けること」と意見を述べていました。しかし先月開かれた県の審査会では、JR東日本は「可能な限り回避できるよう検討いたします」として、伐採する可能性を否定しませんでした。大学教授や環境団体からなる審査会の委員からは、この点に対し意見が相次ぎました。
「知事意見は伐採を避ける、事業者は伐採を可能な限り(回避)。知事意見、全然考えてないですよね。(中略)私は疑心暗鬼になっている。皆さん方の考え方(和歌山大学教授の江種伸之さん)」
「かなり自然度の高いところがたくさんある。知事意見にもそう書かれている。そこに点を打てば(風車を建てれば)、知事意見を無視していることになる(南方熊楠顕彰館学術研究員の土永知子さん)」
「(事業実施区域の)西側が自然度が高く、東は自然度が低い。(現在の風車を)撤去するのは東側で、新たに西の方(に建てる)。逆に言うと、自然度の高いほうに作るということになる(元和歌山大学教授の濱田學昭さん)」
※それぞれ()のカッコ内は本紙
事業実施区域には保安林も含まれており、審査会ではこの点についても意見が出ました。
「西側の薬師谷山、南に降りていくとため池がたくさんあります。その上に砂防林。上流に風車を建てて無くなれば、砂防指定地も壊して、ため池も壊して、そこから水害になる(恐れがある)。危険な場所なので保安林になっている。(中略)御坊市の市街地に影響がでる場合もあるんじゃないでしょうか(土永さん、カッコ内本紙)」
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