Arikaina 2025/2 知事「学校の教育は百害あって一利なし」
「学校の教育は百害あって一利なし」岸本知事が発言

 岸本知事は1月8日の記者会見で、学校教育について「百害あって一利なしだと思っている」などと発言しました。知事は昨年、海南市で開かれたタウンミーティングでも「勉強してもしゃあない」などと発言しています。

 知事の発言が出たのは、記者会見でeスポーツ(ビデオゲームを使ったスポーツ競技)について聞かれたさいのことでした。「私は今の日本の小学校、中学校、高等学校が、これまでのいわゆる教科書を覚えて、あらかじめ答えのある問いを答えさせるというような教育は百害あって一利なしだと思っているものですから、自分が好きなことを早く見つけて、それを一生懸命やっていくという土壌を作っていく一つのツールとして、eスポーツは非常に価値があると思っています」と発言しました。

「学校無理して行かんでもええ」
「きらいな子は勉強せんでええ」

 知事は昨年8月に海南市で開かれたタウンミーティングでもeスポーツのことにふれ、「文科省、学校行かんでもええてことなってるんですよ。無理して行かんでも」などと発言していました。

「きらいな子は勉強せんでええと思ってて、ほんまに。今チャットGPTあんのに、教科書覚える必要ない」

「教科書覚えてね、先生から課題を出されてね、あらかじめ答えがあるわけです。あらかじめ答えがある問題を先生から出されて受け身で答えるっていうのは良くないです(いずれもタウンミーティングでの知事の発言より)

 しかし知事は自分自身が子どもの頃に受けた教育については、'08年に記した自身のブログの中で「江戸時代、幼児から四書五経を音読、暗記させた教育が見直されています。意味が判らなくても、親からすりこまれた言葉は年を取ってから、身にしみます」などと、記者会見やタウンミーティングとは逆ともとれることを書いています。

 文科省のホームページによると、教育に関する事務については教育委員会が責任を負っていますが、首長(知事や市長)も教育委員の任命や予算編成などを通じて間接的に責任を負う、となっています。また大学や私立学校の教育事務は、首長の権限と責任の下に置かれるとしています。

 仁坂前知事は'17年1月の「知事からのメッセージ」の中で、「子供達の教育は最も大事な県の仕事だと思っています」と述べ、「問題が起きた地域の首長で、『教育は教育委員会の仕事だから私は手が出せないし、責任もない』といった発言をする人がたくさんいて、何と浅ましいことかと私は思っていました。教育委員の任命は首長の仕事ですから、(中略)教育委員会が行った事を自分は知らないなどとよく言えるものだと思っていたからです」と続けています。

 今の学校の教育について「百害あって一利なし」とまで述べた岸本知事。しかしそんな教育が行われていることについて、ご自身に責任があるとは、あまりお考えではないようです。

参考=和歌山県「知事記者会見 令和7年1月8日」(https://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/press/06/20250108.html)/文部科学省「2 首長と教育委員会との関係」(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo1/gijiroku/attach/1421016.htm)/文部科学省「2.教育委員会の在り方 4 首長,議会と教育委員会との関係の改善」(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1382471.htm)/和歌山県知事 岸本周平 official website「実るほど頭(こうべ)の垂れる稲穂かな」(https://shuheikishimoto.jp/blog/1891/)/和歌山県「知事からのメッセージ 平成29年1月 教育をみんなで」(https://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/message/201701a.html)


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