紀美野町の小川八幡神社に伝わる「大般若経」。古いものは奈良時代に書かれたとされる貴重なものです。近年、県立博物館や東京大学(以下東大)によって研究が続けられていましたが、2月に全600巻分・実に1万2800点もの画像が東大のサイトで一挙に公開されました。高解像度の画像を自由に閲覧することができます。
'19年から東大と県立博物館が調査
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公開された大般若経の画像 (東京大学史料編纂所・HI-cat データベースのサイトより) |
「大般若経」はお釈迦様の説法を記したもので、奈良時代ごろから全国各地でさかんに書き写されたとみられています。小川八幡神社の大般若経は様々なところで書き写されたものを、地元の人が南北朝〜室町時代にかけて全600巻を集めたと推測されています。そしてつい最近まで、実に数百年にも渡って同神社での読経(転読)に使われていました。
長年同神社で保管されたきた大般若経ですが、'19年からは県立博物館で保管されることになり、同博物館と東大で本格的な調査が行われました。'19年の本紙の取材で、調査にあたった東大の山口英男教授(当時)は「日本最古級の大般若経であり、(国宝や重要文化財に指定されている)ほかの大般若経にも匹敵する価値がある」と話しています。
数百年もの間、地元で大事に使われてきた大般若経。県立博物館によると昨年から、年に1回の小川八幡神社での読経のさい、県立博物館からお経が「里帰り」することになったそうです。全巻は無理なものの、昨年は50巻が「里帰り」して読経で使われたとのこと。非常に高い価値があることが分かった大般若経ですが、地元ではこれからも"現役"のお経として、使われていくことになりそうです。
竹中さんによると調査はひと段落となり、3月には報告書が刊行され、東大のホームページで公開されることになっています。
参考=Arikaina 2019/6 - 紀美野町・小川八幡神社の大般若経 東大が本格的な調査を開始へ(https://arikaina.com/_article/201906/daihannya-1.html)/Arikaina 2022/5 - 何百年も、地域の心のよりどころに 紀美野町・小川八幡神社の「大般若経」(https://arikaina.com/_article/202205/daihannya-1.html)/東京大学「令和5年度退職教員の紹介」(https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400232252.pdf)/和歌県教育委員会「奈良時代写経を含む般若経 600 巻の全画像を WEB 公開 ——川幡神社(和歌県紀美野町)所蔵般若経の公開——」(http://wave.pref.wakayama.lg.jp/news/file/42120_0.pdf)
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