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Arikainaメールマガジン 2021/1号(2021/1/10発行)


Arikainaメールマガジン 2021/1号


皆様こんにちは、Arikaina発行人です。
今月は以下のような記事を掲載しています。

※本紙ホームページから全ての記事をご覧いただけます。
Arikainaホームページ
https://arikaina.com


▼包丁でみかんをむいて"つぶつぶ"に 新感覚『桜和むき』スイーツで、障がい者作業所を元気に!
https://arikaina.com/_article/202101/sawamuki-1.html

▼メンタルヘルス対策に中高生がアイデア 学生団体が県に政策を提言
https://arikaina.com/_article/202101/waka-x-yama-1.html

▼需要急増、特に子ども服が不足 フードバンク和歌山
https://arikaina.com/_article/202101/foodbank-1.html

▼まだまだ進んでない?飲食店の喫煙状況に関するアンケート調査
https://arikaina.com/_article/202101/no-smoking-1.html

▼ほか記事一覧
https://arikaina.com/_article/202101/kiji-index.html


メルマガ読者の皆さんこんにちは、Arikaina発行人です。
これを書いているのは1/9なのですが、1/7に関東1都3県に緊急事態宣言が発令されました。京阪神も、今日にも要請するのではないかと報道されています。



感染拡大の抑制と経済、地方はどちらも支えられない?



それにしても、今までにない急激な増え方です。関東は言うにおよばず、大阪もしばらくは減少傾向でしたが、ここに来てまた1日の陽性者数最多を更新しています。

和歌山も1/7に22人と、ついに1日あたり20人を越えました。入院中の方も106名となり、当面使える病床数(205)の半数を越えました(県では、病床数は最大で400床確保できるとしています)。

まだ余裕があるとは言え、報道で関東方面の病床使用率とかみていますと、半数を越えたというのはかなりひっ迫してきていると考えておいた方がいいのではないでしょうか。今のところ関東や京阪神ほどではないにしても、和歌山でもコロナをふくめ、医療全体への影響を懸念しないといけない段階になってきたと思います。

この前ツイッターでどなたかつぶやいていたのですが、もうこうなるとコロナだけでなく、とにかく体調を崩さないよう、病気全般にならないようにする備えが必要になってくるのかもしれません。どこか悪くなってもすぐには診てもらえないとか、そこら辺を心配する必要が出てきます。

で、これは体のことだけではなく経済に関してもそうです。1/5に関西広域連合で「新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急提言」が出されたのですが(*1)、これをみますと、とにかく「お金は国で出してください」というのをやたら強調しています。

*1 第13回関西広域連合新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催しました/関西広域連合
https://www.kouiki-kansai.jp/koikirengo/jisijimu/bosai/info/5488.html

医療従事者への支援は労災上乗せでとか、ワクチンにいたっては「地方自治体の持ち出しとならないよう、その全額を国の責任において確保すること」とクギをさしています。

これではもう、とにかくもうお金がないから感染抑制策をしたくないのではないかと勘ぐりたくなってきます。実際、もはや地方では補償を出せないから強い抑制策を打てないぐらいの状況になってきているのではないでしょうか。

昨年、北海道や愛知県は独自に緊急事態宣言を出しました。別に国でなくても、そうした宣言を出して住民にお願いする・気を引きしめてもらうということは都道府県独自でもできるはずですが、今回は関東も京阪神もとにかく国に要請です。「国が緊急事態宣言を出しました」という形にこだわっているようにも見えます。



国でもできなくなったらどうなるのか?



昨年、自ら「お金配りおじさん」と名乗っていらっしゃる前澤友作さん(ZOZOTOWN創業者)がツイッターで「富裕層から臨時徴税を」と発言して物議をかもしました(*2)。

今回の緊急事態宣言ではまだ時短に応じたところには補償が出ますが(ちなみに仁坂知事は昨年、この「要請に応じたら補償する」という制度を厳しく批判し、「和歌山ではそんなケチなものは出さない」と仰っていました(*3))、地方はもとより国にもお金がなくなってしまえば、本当に「なにかあっても補償はないかもしれない」という事態を覚悟しておく必要があるのかもしれません。まさに「ない袖はふれない」です。

*2 https://twitter.com/yousuck2020/status/1242408625353576448
*3 和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」バックナンバー 令和2年4月28日| 和歌山県ホームページ
http://wave.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/mailmagaform/backnumber/r020428.html

いろんなところでいろんな方がご発言されていることですが、経済が大変だからといって経済振興策をやっても、結局感染がある程度広がってしまえば、感染の抑制も経済の振興も、どちらもダメになってしまいます。少なくとも寒い内はなかなか収まらないであろうことを考えますと、ここんとこずっと本紙で掲載していますフードバンクさんの活動とか、今月記事にしましたみかんお菓子BOX(障がい者作業所との共同作業)の活動ですとか、あえてこういう言い方をしますが、社会の底辺部分の人たちから大きな影響が出てくるのではないでしょうか。

今の県の行政がそういう事態に対する備えができているようには、ちょっと見えません。そして感染がより拡大した時の備えができているようにも、ちょっと見えません。



「和歌山モデル」もう限界か?



仁坂知事はこれまで、保健医療行政をしっかりやることで感染の爆発は抑えられるという主張を繰り返されてきました。一例をあげますと昨年12/10の「わかやま通信」で、「国民の誰かがコロナにかかったとしますと、その人と病院との間に保健所や、それを統括している都道府県の保健医療行政チームがいるわけです。(中略)この人達がコロナの感染を局地的に抑え込めていれば、コロナの爆発は防げて、病院の崩壊などは起こりようがないのです(*4)」といった具合です。

*4 和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」バックナンバー 令和2年12月10日| 和歌山県ホームページ
http://wave.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/mailmagaform/backnumber/r021210.html

しかし1日あたりの感染者数が20人を越えたあとの1/7の「わかやま通信」では、「県庁保健医療行政チームや各地の保健所、特に感染の集中している和歌山市保健所の負担は大変なことになっています。(中略)こう陽性者が増えてくると、このような作業も本当に大変になってきます」と述べています(*5)

*5 和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」バックナンバー 令和3年1月7日| 和歌山県ホームページ
http://wave.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/mailmagaform/backnumber/r030107.html

1日20人になった途端、もうこの状態です。「8割おじさん」で有名な京大大学院の西浦博教授は、先日バズフィードジャパンのインタビューで「当時、『8割減が必要ですよ』と研究者側から提案しなければならないと思ったのは、新規感染者数が1日20人ぐらいに減らなければクラスター対策ができないという目標地点も明確だったためです」と仰っています(*6)。

*6 緊急事態宣言が効果を上げるか鍵を握る2つの変化 8割おじさんを悩ませる変数
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/emergency-declaration-nishiura-2?bfsource=relatedmanual

お2方の発言をあわせて考えますと、要は感染者が出たら保健医療行政の機能によって行動を追跡し、接触者を割り出して…というような「和歌山方式」「和歌山モデル」と呼ばれるようなやり方は、1日20人ぐらいまでが限界だったということなのではないでしょうか。

上であげた12/10の「わかやま通信」では、仁坂知事は大阪のコロナ対応について苦言ともとれるような発言を繰り返しています。

「特に隣県大阪は、他人事とはとうてい思えないので、何度か気の付いたことを『差し出がましいようですが・・・』と断った上、アドバイスをしました。しかし、中々改善も出来ぬうちに今の爆発をよんでしまったのは、大変残念であります」

「私はこういう例を発見した時には大阪に通知して、偉そうにならない程度に、改善しないと危ないですよ、爆発に繋がりかねませんとアドバイスしていたのですが、中々改善に繋がらず残念でありました」

「今や、大阪の感染の爆発により、和歌山にも火の粉がどんどん飛んできまして、和歌山の保健医療当局も大忙しであります」

そして最後には、

「そんなことを言っても、(大阪のように)もう爆発が起こってしまったものは言ってもしようがないという意見もあるでしょう。しかし陽性者の取り扱いを一人ひとり丁寧にやっていくことによって、少しずつ少しずつ事態は好転していくと私は信じます(カッコ内私)」

と述べています。だいぶ前から1日3ケタになっている大阪に対して「一人ひとり丁寧に」と言っておきながら、和歌山では1日20人になった途端「もう大変」です。そりゃアドバイスしても改善されない・聞いてもらえないのも無理ないのではないでしょうか。

仁坂知事の仰ってきたような「保健医療行政によって〜」という「和歌山モデル」は、おそらく多くの人が思っていたよりぜい弱なものだったのではないか。このところの状況をみていますと、そんな気がしてきています。そしてその通りであれば、それは同時に、和歌山もほかの感染が広がっている都道府県と同様の状況になるかもしれないことを覚悟しておく必要があるということでもあります。

よくコロナ対策の優等生のように言われる和歌山県ですが、10万人あたりの感染者数では全国28位(*7)。NEWSポストセブンの集計では、第3波と呼ばれる昨年10/1〜12/30の期間で、和歌山県は重症率のトップ5に入っています(*8)。京阪神という都市圏の近くという地勢的な要因はあるにしても、全国的にみれば、決して特段にコロナを抑え込めているわけではありません。

(*7)各都道府県における新型コロナウイルス感染症陽性者の発生状況 - 福島県ホームページ
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/covid19-portal/covid19-byprefecture.html
(*8)コロナ感染「地方の危機」 治療経験に乏しく重症化招くことも|NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20210105_1625723.html?DETAIL

というわけで、今月はこれくらいにしておきます。なんか仁坂知事の発言の揚げ足とりのようになってますが、もちろん知事はじめ保健当局のご努力、ご尽力は大変なものがあるはずです。

ですが知事は昨年の本紙8月号で記事にした「1人や2人出る」というような発言(*9)ですとか、上で書いた「ケチ」ですとか、少し言葉が軽くなる傾向があるのではという気がしています。私も自分の言動をふり帰ればそんな偉そうなことは言えないのですが、知事は県の行政のトップであり、そして今はこの状況です。

(*9) 知事記者会見 令和2年7月21日 | 和歌山県
https://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/press/02/7/200721.html

「和歌山では」「保健医療行政によって」というようなことをことさら強調してきたことで、「ま、大丈夫やろ。和歌山はしっかりしてる言うてるし」こういう人が増えていないのか。そして今、いざ抑制が必要な段になって「どうか気をつけて下さいますようお願いします」とお願いしても(*5)、あんまり響かない人が出てくるのではないか。そこも懸念しています。

先月のこのメルマガでも書きましたが、感染が落ちつけば経済振興策をやり、感染が広がれば抑制策をとる。それはいいにしても、今の状況をみていますとその切り替えがうまくいっていない印象を受けます。昨年7月にこのメルマガで「休業補償が無かったり少なくなったりすれば、おそらく多くのお店が休業要請に従わなくなるのではないでしょうか」みたいなことを書いたのですが、今回の緊急事態宣言では、関東の外食チェーンが時短に応じない姿勢をみせています。今回はまだしも補償が出るのに、です。

特措法の話も出ていますが、こういう動きが広まればどんどん負のスパイラルがはじまってしまい、後に残るのはまさにカオスです。ですのでまあ、揚げ足とりみたいなことも、少ししたくなりましたという次第です。もっとも、知事がこれ読まれることはまずないでしょうが(苦)

しばらくは厳しい状態が続くはずです。とりあえずは感染しない/させないことはもちろん、可能なかぎり健康に気を配るべく、日々スマホアプリで栄養管理してる底辺付近の発行人でした(苦)。それではまた来月〜

有田・海南のフリーペーパー Arikaina
発行 内河将史
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