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Arikainaメールマガジン 2021/9号(2021/9/10発行)


Arikainaメールマガジン 2021/9号
皆様こんにちは、Arikaina発行人です。
今月は以下のような記事を掲載しています。

※本紙ホームページから全ての記事をご覧いただけます。
Arikainaホームページ
https://arikaina.com


▼「感染が爆発したのは国民のせい」仁坂知事がメルマガで発言
https://arikaina.com/_article/202109/nisaka-1.html

▼有田・海南地方のコロナワクチン 10月には希望者分がほぼ終了へ
https://arikaina.com/_article/202109/vaccine-1.html

▼有田の妊婦さんを強力サポート!地元の助産師さんが助産院をオープン
https://arikaina.com/_article/202109/midori-1.html

▼8月、大雨で和歌山市が警戒レベル3を発令…するも、ほとんどの人が避難せず
https://arikaina.com/_article/202109/weather-1.html

▼ほか記事一覧
https://arikaina.com/_article/202109/kiji-index.html


メルマガ読者の皆さんこんにちは、Arikaina発行人です。

8月はコロナが大変なことになりました。全国では1日2万人を超え、和歌山でも最高で91人と、少し前ならとても考えられなかったような数字になりました。さいわい、このところ下がってきたものの、もしあのまま増え続けてもうひと段階上になって、和歌山でいえば130〜150人とかになっていたらかなり大変なことになっていたんじゃないかと思います。久しぶりに「これどうなんの?」という感覚を味わいました。

で、その大きな原因じゃないかと言われたり思われたりしてるのがオリンピックです。今月号の記事でも書きましたが、多くの医師はオリンピックと感染拡大に関係があると思っており(*1)、8割おじさんこと西浦京大教授にいたっては、「因果関係がないとか言ってて恥ずかしくないのか」とまで吠えています(*2)。

一方、国やIOCは「関係ない」とか「裏付けがない」みたいなの繰り返しており(*3)(*4)、われらが和歌山県の仁坂知事も、野球や相撲やってるのになぜオリンピックに反対するのかと、まあ要は感染爆発とは「関係ない」と言ってます(*5)。

で「関係がある」派の人がよくいってるのが「オリンピックで人々の気持ちがゆるんでしまった」というものです。で、知事にかぎらず「関係ない」派の人がよく言ってるのが、無観客だし、「オリンピック、パラリンピックによってどういう経路で拡大するという詳細なメカニズムを説明する人はいなかったように思います(*5)」という具合に、オリンピックが感染の経路になることは(はずは)ない、それが科学的な態度だ、みたいなのです。

で、「気持ちのゆるみ」に関しては、同じ「わかやま通信」で知事は「オリンピックみたいな楽しいことをやると気が緩むからという所に最後はつきていったと思います」としています。つまり感染が拡大するメカニズムを示せないものだからこういうことをいってるみたいに指摘し、「放恣な生活をする人、都などの要請に応じなくて夜もお酒を提供しているお店に行く人は、オリンピックがあろうとなかろうと、それで気が緩んだり引き締まったりするわけがありません」としています。

が、はたして本当にそうでしょうか?

オリンピックの前、どの世論調査でも多くの人が開催に反対していました。調査によっては、中止すべき・延期すべきをあわせると8割ぐらいになってるのもありました(*6)。6〜7割ぐらいだったら、メディアの見出しでも「多くの人が〜」とかでしょうが、8割となると、もはや「ほとんどの人が〜」と書くところがあってもおかしくないレベルです。

問題はその状況で、かつ、感染がこれから増えていく可能性がある中で開催した、してしまったということです。

毎日、「誰それがメダルを獲得しました!」「日本の獲得数が過去最高です!」「感動!」「素晴らしい!」みたいなニュースと並んで「かつてない感染の広がりです」「医療現場がひっ迫しています」「ロックダウンの具体的検討を」「いま一度、基本的な感染対策を」みたいなニュースが並ぶ。

無観客だったわけですし、知事はじめ賛成派の人がいっているようにオリンピックが感染拡大の起点になったとか、科学的・疫学的にそういう根拠が(少なくともすぐには)出てくるわけではありせん。ただオリンピックとまるでタイミングをあわせるかのように感染も広がっていきましたから、オリンピックが原因ではないかと疑われるのは、まあ自然なことだと思います。

でも多くの人は反対してたわけですから、感染が広がったら「案の定」「そらみろ」てなもんで、「ではないか」どころか、「オリンピックが原因“だ”」ぐらいにまで思う人が多かったとしても不思議ではありません。つまり何も楽しいことをやってるから気がゆるむとかではなく、「いってることとやってることが違うじゃないか」という反感により、放埒でも何でもないごくごくフツーの感覚の人たちが要請を無視するようになり、放埒な人たちを生み出してしまったのではないでしょうか。

「関係ある」派の一人、政府のコロナ分科会会長の尾身さんがよく言っている「矛盾したメッセージ」が懸念しているのは、まさにこういうとこなんじゃないかと思います。オリンピックやってるから俺らも・私らも、だけではなく、筋道立てて考えるようなタイプの人も「要請とか聞かなくていい」という結論を出してしまいかねない、放埒でない人が誘惑に負けるきっかけになるかもしれない、そういうリスクをはらんでいると思います。

もちろん、その影響でどれくらいの人が放埒な行動に走ったのかとか、そういうのが数字で出せるわけではありません。ただまあ、知事の仰る「オリンピックがあろうとなかろうと、それで気が緩んだり引き締まったりするわけがありません」というのも、さしたる数字や根拠を示されているわけではありませので、そこはおあいこではないでしょうか。

「オリンピックで感染が広がるメカニズム」を示せと仰るのであれば、「オリンピックで気が緩んだり引き締まったりするわけではないというメカニズム」もお示しになるべきではないでしょうか。「原因“だ”」という人が多かったはずだ理論の方は、少なくとも、気持ちや考えの面でのメカニズムは示すことができたのではないかと思います。

反対している人が圧倒的に多いことは分かってたわけですし、開幕のタイミングにあわせて感染が広がっていくかもしれないことも、広がればどうなるかも、事前に十分予想できたはずです。コロナ禍がはじまったころに有田市立病院の吉田医師にうかがったことをこのメルマガでも何度も何度も何度も書いていますが、感染症対策は、病院だけがやったってどうにかなるものではありません。どれだけ多くの人が協力するかが、本当に大事です。もう1年半以上が過ぎて、本当に、本当にそれが大事だと思います。

それをもっともお願いしなければいけない立場であるはずの国や自治体のトップが、お願いを聞いてもらえなくなるような判断や言動をしていてどうするのでしょうか。よく大衆迎合なんていわれたりしますが、今、民心をつかまないで、この状況をどうのり切れるのでしょうか。「これをやったらみんなどう思うか」を、なぜもっと優先順位をあげて考えないのでしょうか。

コロナ禍が長引くにつれて、医療従事者の離職も問題になってきています。7割の医師がオリンピックと感染拡大を「関係ある」と答えている中で、「関係ない」といい続けてたら、どういう風に思われるでしょうか。

もうすぐ総理大臣も変わりますが、政治家は小々替えが効いても、医療従事者、特にコロナの最前線に立っているような医療従事者は、そうそう替えが効くものではありません。今の状況の中、ホントのところはどうかというだけでなく、多くの人がそう思う・思われる、そのこと自体のもつ意味にもっともっと配慮してほしいと、為政者のみなさまに節に「お願い」したいところです。

というわけで、今月はこれくらいにしときたいと思います。まあ仁坂知事は前々からこの話題になると、小々口汚いくらいの勢いで反対派を罵倒していてなんかヘンなだと思っていたのですが、最近ちょっと「そうやったんか」と思えるようなことがあって記事にしましたんで、よければ上のリンクからお読みいただければと思います。

今回の第5波でよく分かったのは、変異によって、コロナの感染力がめちゃめちゃ上がってしまっているということです。もはやワクチン接種率7割で集団免疫というのは難しいらしく、それはつまり、収束というのは相当先になってしまったことを意味します。波が来るたび、ワクチン未接種の人を中心に感染が増えて医療がひっ迫し、緊急事態だ何だみたいなのが、今しばらくというか、たぶん結構長いこと続くんじゃないかということです。

まあ接種率7割なら3割の人は打たないわけで、3割といえば、日本全国なら約3800万人、和歌山県なら約29万人です。今、全国なら1日2万人、和歌山なら100人で「大変だ」になってるわけですから、そんだけ未接種の人がいれば、社会をゆるがすほど感染が広がるくらいには十分な数なんじゃないでしょうか。くわえて打ってても感染することはあるわけで、ここからさらにコロナの感染力が上がったらいったいどうなるのかって感じです。

とりあえずできることとしては、少しでもワクチンの接種率を上げることじゃないでしょうか。今月号の記事にしましたように、どこの自治体に聞いてもだいたい10月ぐらいで希望者にはほぼ終了になってて、その後のことについては「まあ6人そろったら…」みたいな感じで、なんかあんまノリ気じゃない空気を感じました(注・あくまで取材にもとづく筆者の感想です)。

まあ自治体の担当者は4月からほんとに忙殺されてたでしょうし、やっとゴールが見えてきてヤレヤレ感もあるのかもしれませんが(注・あくまで以下略)、希望者だけでも、どこでも接種率8割ぐらいはいきそうなのですから、なんぞワンプッシュ考えて、9割目指せないものでしょうか。国からは、とりあえず人口の8割めどにワクチンが配布されてるみたいですが、事前に希望者を確保できれば、国の方だって融通すんの決してやぶさかじゃないんじゃないでしょうか。

もちろん残り少なくなればなるほど上がりにくくなるのは理解してますが、6人ていうのも、ひとつの自治体じゃなく近くの市や町で集約できたらもっとはやく打てるでしょうし(たぶん検討はされてると思いますが)、なんかワクチンデーみたいなのつくって、この日だったらココに来てくれたら誰でも予約せんでも打てますみたいなの用意するとか。いろんな事情とか気持ち的に、打つことをあんま人に知られたくないって人もいると思うので、そういうとこの配慮もいると思います。

啓蒙だってもっとやるべきだと思います。若い世代にアピールするんなら、献血でよくやってるみたいな人気のあるタレントさんとか、今だったらユーチューバーさんとか起用するとか。あとになるほどワクチンに懐疑的な人が残っていくでしょうから、最初ワクチン反対派だったけど転向した人に話してもらうとか、巷に出回ってる「ワクチン打ったら死にます」みたいなのを、専門家に徹底的に論破してもらうとか。

たしかに、なんかもう宗教ですかってぐらい「コロナはただのカゼ」だの「ワクチンは危ない」だの信じきってる人とかいるので、そういう人たちに打ってもらうのは相当難しいでしょうが、でも映画に演劇、音楽に小説、人の心に訴えかけるプロという人たちだっていっぱいいます。今以上にコロナの感染力が上がるというのはかなり現実的に考えておかないといけないので、9割マジで目指しますぐらいのこと、やっとくべきだと思います。

残念ながら当分は今と変わりばえしない生活が続きそうですが、 今よりひどいことにならないよう、放埒な行動は厳に慎ませていただく所存でおります。それではまた来月〜

※次号は10月10日(日)発行です。

(*1)m3.com「医師の約7割、五輪と感染拡大「関連ある」
https://www.m3.com/news/open/iryoishin/953241?category=
(*2)週刊文春 9月9日号(令和3年9月2日発行)「西浦教授激白『菅総理、不都合な真実を直視してください』」
(*3)朝日新聞デジタル「厚労相、五輪と感染拡大の関連否定『数字出ていない』」
https://www.asahi.com/articles/ASP8B53JKP8BUTFL009.html
(*4)東京新聞 TOKYO Web「五輪のお祭りムード、コロナ感染拡大に影響か…バッハ会長『数字的な裏付けない』」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/122723
(*5)和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」令和3年9月6日
http://wave.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/mailmagaform/backnumber/r030906a.html
(*6)中日スポーツ・東京中日スポーツ「【東京五輪】開催反対80%との全国世論調査に世界メディアが注目『コロナ制御へ時間との競争』」
https://www.chunichi.co.jp/article/183755


有田・海南のフリーペーパー Arikaina
発行 内河将史
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