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Arikainaメールマガジン 2023/4号(2023/4/10発行)


Arikainaメールマガジン 2023/4号

皆様こんにちは、Arikaina発行人です。
今月は以下のような記事を掲載しています。

※本紙ホームページから全ての記事をご覧いただけます。
Arikainaホームページ
https://arikaina.com


▼和歌山県、「財政危機警報」の衝撃 県議からは疑問の声も
https://arikaina.com/_article/202304/financial-crisis-1.html

▼岸本知事の友人らが開催するイベント 県の広報紙に広告を無料掲載
https://arikaina.com/_article/202304/talk-to-kishimoto-1.html

▼紀美野町、4月から高校生に月1万円を支給
https://arikaina.com/_article/202304/kimino-high-school-1.html

▼湯浅町で能を上演 今年中に実現へ
https://arikaina.com/_article/202304/nou-1.html

▼ほか記事一覧
https://arikaina.com/_article/202304/kiji-index.html


メルマガ読者の皆さんこんにちは、Arikaina発行人です。

この数年間というもの、このメルマガの書き出しはもっぱらコロナのことからはじめてましたが、とうとうと言いますか、今月号はコロナの記事をなくしました。バックナンバーをふり返ってみますと、'20年2月号ではじめてコロナのことを記事にして、翌3月号からはほとんどコロナ一色みたいな紙面が続きました。途中、IRカジノ関連の記事が多くなっていましたが、毎号何かしら記事にしていましたので、なんか感慨深いものがあります。

少ないと言っても50人ぐらいは毎日確認されているわけですが、実際毒性も低いことに加え、病床使用率もかなり落ち着いており、とりあえずこういう判断にしたところです。とは言え、また流行するときも来るでしょうし、そうなると急激な変異とかなくても、2月号で記事にしましたように救急現場また大変なことになることも考えられます。こ最近、少しずつですがまた増加傾向になってるようにみえなくもありませんので、増えてきたらまたすぐ記事にしていきたいと思っています。


で、コロナの変わりに何を記事にしたのかですが、今月は県の財政危機警報について大きくとり上げました。

この件は2月のメルマガでも、どうも実際にどういう計算でそうなるのか分かりにくい、みたいなことをちょっと書きました。あとで県議会でもそういう話があったことと、県の財政課長さんが財務省の広報誌に一文を寄せていましたので、それとあわせて記事にしました。

ただこの財政課長さんの一文を読みましても、まだ分かりにくいです(汗)。今までの知事の説明よりははるかにくわしく説明されてはいるのですが、肝心の「どういう計算でそうなったのか」という部分に関しては、結局「機械的に計算するとそうなった」になっています。

よくエクセルの教本なんかでも、マクロを使うなら中身を理解して管理することが大事ですみたいなことが書かれてると思いますが、「機械的に計算」したのであれば、何をどう機械的に計算したのかをあきらかにする必要があると思います。それこそエクセルのマクロみたいなのであれば、そのマクロの中身を公開しておくべきではないでしょうか。

財政課長さんの説明によれば去年財政プランを建てたころと比較して、物価や金利の上昇があって、内閣府のベースラインケースを元に再度計算したとのことで、ここまではまあ分かります。県が2月付けで発表している「和歌山県財政の現状と課題」という文書をみますと、その元にしたという内閣府のベースラインケースの数字として、

  • 消費者物価上昇率
  • 名目長期金利
  • 名目GDP成長率

の数字があげられていて、それを元にどういう風に計算したのか、つまり財政危機警報を出すにいたった根拠をざっと説明されているのですが、たとえば人件費ですと、

  • 消費者物価上昇率を人件費の伸び率と仮定して推計

となっています。これだったら

{現在の人件費} x {消費者物価上昇率}

として計算しているんだろうなと、かんたんに想像できます。
しかし、たとえば公債費ですと

  • 既発債は、現在の償還計画に基づき計上し、新発債は、歳入の県債発行額から推計。
  • 金利は、名目長期金利及び予算編成時の直近金利を参考に、金利上昇リスクを加味して借入先ごとに設定。

と説明されています。

1行目はどういう計算をしたのかまだ想像しやすいですが、2行目はどうでしょうか?どの程度のさじ加減で「加味」するかによって、かなり変わってくるのではないでしょうか?それも試算する期間を長くすればするほど、借金がふくらむような試算にしやすくなるのではないかというのは、少々うがった見方に過ぎるでしょうか。

文書の中では、あと「投機的経費」と「その他支出」について説明がされているのですが、「投機的経費」については、「公債費」と同じようなあいまいさと言いますか、「さじ加減次第で」というのを感じます。

もちろん私が知らないだけで、どこかでもっとくわしい数字なり説明がされているのかもしれませんし、有料ですが情報公開請求とかすればそういう数字の出ている書類とかも出してもらえるのかも分かりません。

ただ警報まで出すのであれば、ほんとこういうところがキモと言いますか、前提条件次第でがらっと変わることもあるんじゃないのというところだと思いますので、少々こまかくなってもホームページでできるだけ公開するべきではないのかな、とは思います。

去年の財政プランでは5年計算だったものをなぜ10年計算にしたのかも、その理由は述べられていません。単純に考えても計算するさいの起点となる時点で悪い状態、たとえばほんのちょっとでも赤字になっているような状態であれば、計算する期間を長くすればするほど、悲観的な見通しになりやすくなるのではないでしょうか。

財務課長さんは財政危機を脱するための方策として、「国に対する要望の一元管理」とか「既存事業の精査」といった言い方をされているのですが、ものすごくざっくばらんに庶民的に解釈させていただきますと「公共事業やり過ぎて借金増えたんで、これから公共事業減らします」と仰っているように、私には見えました。

私の見方があってるのかどうかは下にリンク貼っておきますので、お手数ですが財務省のホームページで原文をお読みいただければと思います。今回の再計算で考慮されたとしている物価や金利の上昇は、和歌山県だけでなくどこの自治体でも同じ条件のはずであり、財政危機警報の主な原因をそこに求めるのは無理があるという気がします。

で私のこの解釈通りであればですが、知事は「やりくり」と仰ってますが、要は緊縮財政にして公共事業を減らしていくことになると思います。自然博物館や射撃場は、その手始めというところでしょうか。ただ警報を出すことになった原因が公共事業のやり過ぎであるとするならば、それは県庁が適正な事業規模を見誤ってきたということなのではないでしょうか。

だとすれば今月号でもとり上げた玄素議員のように、まず県庁の給与を削減するべきではないか、というのは当然の指摘であろうと思います。県の試算で、これから9年間でふくらむとされている借金が約150億円。玄素議員の指摘によれば、給与を10%削減すれば135億円。だとすれば5%でも67億円、3%でも40億円です。それこそ試算している10年というスパンで見れば、あえて言いますが、そんなに難しいことなんだろうかという気がします。

知事は2月1日の記者会見で「危機感を、全県民の皆さんと共有したい」と言ってます。その割には2月の補正予算を見ましても、玄素議員が批判されているように、危機だと言いながら退職手当基金に19億円。それに県外のイベントである大阪の万博に16億円というのも、少々かけ過ぎではないでしょうか。

たしかに借金返済基金のためとして約80億円あてているのですが、ほかの使い道を見ますと、どうもあまり危機感が伝わってこない予算になっているに思います。徳川吉宗が木綿の肌着を着ていたことは有名ですが、危機感を共有してほしい(がまんしてほしい?)ということであれば、まず自分たちが範を示すということが必要なのではないでしょうか。


と言うわけで、今回はこのぐらいにしておきたいと思います。実際には給与の削減どころか退職手当基金に19億円もあててるわけですが、ちなみにこの前仁坂さんが退職されたときにこのメルマガでもちらっとふれましたが、知事は任期ごとに退職金をもらえます。

知事の任期は4年で、令和4年度では退職金は約3,000万円です。今の岸本知事が4年間つとめれば、それだけで3,000万円です。で、仮に次の知事選に岸本さんがもう1回出てまた当選して、また4年間つとめますと、また3,000万円もらえます。

少し前に老後の資金2,000万円問題と言うのが話題になりましたが、経団連の調査によると、今、民間企業では定年退職で退職金の平均は2,000万円ぐらいだそうです。つまり数十年つとめてもそんだけ、です。知事は4年やるだけでそれ以上もらえて、しかも任期を重ねれば何回でも「おかわり」できるようになっています。

岸本知事はこの財政危機に対して「かしこいやりくり」をしていくと仰っているのですが、せめてこの知事の退職金を削減するとか、1回かぎりにするというのはどうでしょうか。「やりくり」、つまりより少ない費用で同じような効果を得られればいいわけでしょうから、仮に30%削減しても民間の平均よりまだ多いわけですから、必要な分はしっかり確保されていると申し上げてよろしいかと存じます。ぜひ「かしこいやりくり」の手はじめとして、おすすめしたいところです。

ただ「やりくり」していくにしても、上で書きましたように、前提となる条件はもっとしっかり示していただきたいと思います。さじ加減次第で「危機だ」とか「危機でない」と言えてしまうのであれば、そこがブラックボックスになったままでは、その後にどういう財政状況になっても「まだ危機である」とも「もう危機でない」とも言えてしまう、ということになりかねないのではないでしょうか。

私も県民の一人として今回の財政危機警報をしっかり受け止め、危機感を共有し、県のお金の使い方について、しっかりとみていきたいと思っております。ま、これからコロナのことを記事にすることも少なくなるかもしれませんしね。それではまた来月〜

※次号は5月10日発行です。

有田・海南のフリーペーパー Arikaina
発行 内河将史
https://arikaina.com
arikaina@gmail.com
〒649-0111 和歌山県海南市下津町方187-10

参考=
財務省「和歌山県財政の現状と課題 ~財政見直し元年~」
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202303/202303h.html
Excelのマクロってどんなもの?基本的な機能や使用時の注意点について解説!|ファイル共有サービスBoxとの連携で業務効率化
https://www.products.nsd.co.jp/service/copirobo/list/?id=6380
困った・・私はマクロ実行するだけ。突然エラーで先に進めなくなった・・それでも「やらねばならない」とき
https://global-wing.com/activity/marco-error-check.html
和歌山県「和歌山県財政の現状と課題」令和5年2月
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010400/d00212473_d/fil/genzyoutokadai.pdf
Weblio辞書「地方自治体首長の退職金とは何? わかりやすく解説」
https://www.weblio.jp/content/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%87%AA%E6%B2%BB%E4%BD%93%E9%A6%96%E9%95%B7%E3%81%AE%E9%80%80%E8%81%B7%E9%87%91
日本総研「首長の退職金」
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=5933
和歌山県「令和4年度和歌山県人事行政の運営等の状況の公表について」
http://wave.pref.wakayama.lg.jp/news/kensei/shiryo.php?sid=36647
Yahoo!ニュース「平均退職金2,000万円…大企業勤務の40歳・勝ち組サラリーマンの大誤算!20年後に手にする唖然の退職金額に『何かの間違いでは』(幻冬舎ゴールドオンライン)」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c9060a95ee0200e903ab8e15b128997f0f53ef18

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