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Arikainaメールマガジン 2023/11号(2023/11/10発行)


Arikainaメールマガジン 2023/11号

皆様こんにちは、Arikaina発行人です。
今月は以下のような記事を掲載しています。

※本紙ホームページから全ての記事をご覧いただけます。
Arikainaホームページ
https://arikaina.com


▼県と和歌山市、コロナ交付金から5000万円を東京ガールズコレクションに支出
https://arikaina.com/_article/202311/tgc-1.html

▼「観光客がいなくて破産の危機なの」広川町、自虐動画?を制作依頼
https://arikaina.com/_article/202311/hirogawa-movie-1.html

▼大阪の万博 和歌山県の負担、2000万円ほど増額か
https://arikaina.com/_article/202311/expo-1.html

▼暮らしの研究発表会
https://arikaina.com/_article/202311/account-book-1.html

▼ほか記事一覧
https://arikaina.com/_article/202311/kiji-index.html


メルマガ読者の皆さんこんにちは、Arikaina発行人です。急に暑くなったり寒くなったりが続いてますが、皆様、体調など崩しておられないでしょうか。

今月は何と言いますか、「自治体をどうやって売り込むか」的なことについて、2本大きくとり上げました。

まず東京ガールズコレクション(以下「TGC」)についてですが、いろいろ理由付けましても、コロナの交付金を使うのはやっぱりおかしいと思います。コロナとの関係の無さ具合で言えば、あのイカのモニュメントにも負けないぐらい関係ないんじゃないでしょうか。

本来、行政がこういう民間の営利イベントにお金を出すのであれば、よほどしっかりした理由や根拠が必要なはずです。県議会でもつっこまれてましたが、「なぜTGCにだけお金を出すのか」とか言われるに決まってるからです。

県や和歌山市はこれから民間のイベントに協賛を依頼されたり、今までお金出してたとこに減らすとかなったら、「TGCにはあれだけ出してるじゃないか」とか「ウチはTGCより価値がないということか」とか言われるようになるんじゃないでしょうか。

特に県の方は、このままじゃ財政が危ないということで財政危機警報を出しているわけですから、その中で民間の営利イベントに2,500万も出すのであれば、もう少ししっかりした根拠を説明する必要があると思います。県の当局はもちろん、議会で賛成した議員さんにも、です。

記事でもふれましたが、この点について9月の総務委員会で県が一番強調していたのが「共生社会の実現にとり組む姿勢をアピールできる」という点です。しかしそれは別に、ファッションショーでなくてもできることなのではないでしょうか。

県がステージの枠をひとつ買うだけでも1,200万円かかる(議事録によりますと、TGCではステージを7分1,500万円とかで売っているそうです)そうなのですが、それだけお金あればほかにもできることがあるのでは、という気がどうしてもしてしまいます。しかもお金を払うのは、民間の営利イベントに対してです。

県側は絶大な効果があるみたいに言っているのですが、この「効果」っていうのも、そもそもどうやって計るの?という気がしなくもありません。2月に開催されたときもPR効果が20億円とか報道されてましたが、和歌山市によると、あれはあくまで主催者発表の数字だそうです。

たとえばYoutubeの再生回数がそのまま和歌山のアピールになっているのかというと、見る方は基本的にモデルさんやファッションが目当てのはずですから、再生数がそのまま和歌山のアピールになっているとは言い難いものがあると思います。

でも、たとえば市内の人の集まるところでマイノリティーの方への理解や関心を訴える催しとかすれば、それを見た方は1週間経っても、県がそこにとり組もうとしていることははっきり認識しているのではないでしょうか。それにずっと少ないお金でできるでしょうから、継続して開催することもできるはずです。

実際そういうことをやってこられたのが、NPOの「チーム紀伊水道」さんです。地道な努力が実ったというべきか、最近ではほんとにいろんなメディアでとり上げられるようになり、橋本市など、県内でもパートナーシップ制度を導入するところが出てきました。

一度にアピールできて広告換算すれば○億円とかもたしかに凄いことですし、意味もあると思います。でも実際に社会に訴えかけるのは、こういう地道な継続なのではないでしょうか。

TGCの様な大型イベントで集客して発信もできればいいではないかという人もいるかもしれませんが、今回は県と和歌山市であわせて5,000万円です。全体の開催費用がどれくらいか分かりませんが、ちらっと聞いた話と推測をあわせれば、おそらく全体の半分とまではいかないまでも3〜4割くらいはまかなっているのではないでしょうか。

これに加えて地元企業の協賛金とチケット収入、7分1,500万といったステージの販売、あとこれは分かりませんが、ネット配信や映像コンテンツによるマネタイズも行われている可能性があると思います。

TGCは地方開催の場合、たいてい開催される場所の自治体が2〜3,000万円くらいを負担しているようです(調べた中では、なぜか広島市だけやたら少なかったですが)。これでは私みたいなひねくれもんに、「自治体がお金を出すことが開催の条件になっているのではないか」と勘繰られても仕方ないのではないでしょうか。

TGCの運営会社は地方創生をうたっておられるようで、もちろん実際に喜んでいる方もいるでしょうし、にぎわいが生まれ情報発信できるメリットもあると思います。しかし行政が多額の費用をかけて、開催「していただく」ことが本当に妥当かどうかは、もう少し冷静に判断する必要があるのではないでしょうか。


で、もうひとつは広川町が依頼して作った動画です。正直腹立たしいのでリンクとか紹介したくないのですが、ご興味があれば広川町のホームページをみれば、トップページからすぐにたどれます。

どこの地域でも、地域を盛り上げようとがんばってる人たちはいるもんです。広川でも、記事でもふれた「稲むら最中」もそうですが、ほかにも「稲むらの塩」ですとか、じゃばらの加工品にとり組む方ですとか、特産品をつくろうとしている方々がおられます。

広川中央公民館では「耐久大学」と銘打って、各方面から講師を招いての講演会や勉強の場など、さまざまな活動をされています。梧陵さんを通じてまちづくりしていこうと取り組んでいる方々もおられ、「稲むらの火祭り」も、そうした活動から生まれました。

それが何ですか、町長みずから「特産品とか名物とか何もありません」だの、職員が「自虐要素入れてください」だの、もう、腹が立って腹が立って仕方ありませんでした。だってそんなことやる度に、地元を盛り上げようとがんばっている人たちのがんばりが台無しになっていくはずだからです。

仮に一時的に注目が集まったとしても、「何もない、破産しそうになってる、とか自分らで言ってる(笑)」てのも広まるわけですから、話題になればなるほど、広川はそういう面でも知られていくことになります。

注目集めれば、再生数稼げれば何でもいいのでしょうか?これでは「町」という大きな器を使って、迷惑系ユーチューバーとかバカッターと大差ないことをやってるようなもんです。

私は上で書いたような盛り上げようとがんばってる人たちにお話聞いたりイベントの記事のせたりしてきましたので、本当に腹が立って仕方ありません。町を卑下することが町のためになるとかお考えなのであれば、町長だの町の職員だの、さっさとお辞めになったらどうでしょうか。その方が町のためになると思います。

「いやもうどうせ田舎ですんで、何も名物とかありませんで、破産しそうになってまして…」ボソボソこんなこと言ってる人が、魅力的に映るでしょうか?特産品や名物があるかどうかだの、財政状態がどうかだの、それ以前の問題ではないでしょうか。

どんだけ田舎であれお金がなくても、「こういうことをがんばっています!こういうことでがんばっている人たちがいます!」そうやって胸を張る人の方が、よほど魅力的に映るのではないでしょうか。町をアピールしよう、人を呼び込もうとかするのであれば、そうでなければスタートラインにも立てないのではないか、と思います。


と言うわけで今月はずいぶんプンスカしましたが、まあこれぐらいにしておきます。個人的なことですが、私は広川の町民ではありませんが祖父の出身地でして、長いことお会いしてませんが遠縁の親戚の方もいますので、プンスカ具合に拍車がかかってしまいました(笑)

TGCにしても広川の動画にしてもそうですが、結局こういうのに共通しているのは、自分たちで価値を生み出そうとしていない点だと思います。TGCなら東京から買ってくる、動画なら自分たちを卑下して注目してもらう。

今年のプロ野球も先日の阪神のアレで終わりましたが、岡田監督は昨年の就任早々、FA補強はしないと公言し、さほど目立った補強も行いませんでした(結果的に、現役ドラフトの大竹投手がFA補強並の大活躍でしたが)。

ひところの巨人や最近のソフトバンク、楽天など、派手に助っ人獲得やFA補強に走っているチームの成績がどうなっているかを見てましても、そういう他でできた価値をお金で買ってくるのではなく、自分たちで魅力的なアレを作るのが行政に求められることなんではないかなと思う発行人でした。それではまた来月〜

※次号は12月10日発行です。

有田・海南のフリーペーパー Arikaina
発行 内河将史
https://arikaina.com
arikaina@gmail.com
〒649-0111 和歌山県海南市下津町方187-10

参考=
和歌山県議会「令和5年9月和歌山県議会総務委員会会議記録」
https://www.pref.wakayama.lg.jp/gijiroku/d00214352.html
朝日新聞デジタル「東京ガールズコレクションをわがまちで 2500万円をかける期待 [和歌山県]」
https://www.asahi.com/articles/ASRBV5SRVR9WPXLB008.html
橋本市「『橋本市パートナーシップ宣誓制度』が始まりました」
https://www.city.hashimoto.lg.jp/guide/sogoseisakubu/jinkendanjyosuishin/paatonasittupu/14518.html
株式会社W TOKYOのプレスリリース「〜唯一無二の地方創生を実現〜 日本を代表するエンタメカンパニー2社が仕掛けるW TOKYO×LDH JAPAN 地方創生プロジェクトが静岡、和歌山、一関、鯖江に続き山梨に初上陸!」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000557.000007466.html
デイリースポーツ online「岡田阪神『そんなん、いらんよ』FA補強封印で新戦力発掘 村上&桐敷『楽しみよな』」
https://www.daily.co.jp/tigers/2022/11/02/0015772690.shtml

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