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Arikainaメールマガジン 2024/1号(2024/1/10発行)


Arikainaメールマガジン 2024/1号

皆様こんにちは、Arikaina発行人です。
今月は以下のような記事を掲載しています。

※本紙ホームページから全ての記事をご覧いただけます。
Arikainaホームページ
https://arikaina.com


▼工事費100万ほどで、補助率80〜90%も 意外に安くできる?耐震改修工事
https://arikaina.com/_article/202401/resistance-diagnosis-1.html

▼有田・海南の各市・町、備蓄物資の状況 数か所に集中して置いているところも
https://arikaina.com/_article/202401/stock-1.html

▼広川町、移住する新婚家庭向けに町有地を無償で譲渡
https://arikaina.com/_article/202401/free-land-1.html

▼復旧に20万円以上かかった事業者を支援 海南市の給付金、受け付けを2月末まで延長
https://arikaina.com/_article/202401/disaster-payment-1.html

▼ほか記事一覧
https://arikaina.com/_article/202401/kiji-index.html


メルマガ読者の皆さんこんにちは、Arikaina発行人です。

あけましておめでとうございます…なのですが、お正月早々、大変なことになってしまいました。被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。

当初はほかに考えていた記事があったのですが、急きょ地震関連のものに変更しました。備蓄の記事は、まあ半分は'16年の熊本地震のときの記事の再録みたいな感じです。今回書くにあたって記事を見直してみますと、あのときも「『食べものがありません』『支援して下さい』4月に発生した熊本地震では避難所に避難した人たちから、地震発生間もない頃からそうした声がツイッターなどのSNSで発信されていました」という書き出しからはじまっています。

記事の後ろの方では「さらに熊本地震のように道路があちこちで寸断された様な場合は、和歌山県では避難所に避難しても、備蓄食料は1日弱でほぼ尽きる可能性が高いーーそう言えそうです」と書いたのですが、おそらく、能登ではこのようなことが起こってしまったのではないでしょうか。

今回、ニュースを見てて「あれ?」と思ったのは、たしか1月3日か4日だったと思うのですが、避難所にいる方が「もう何日も食べていない」と言われていたことです。地震が起こったのが元旦でしたから、それからほとんど食べておられなかったのではないかと思います。ということは、避難所には食料の備蓄がなかったか、あっても量はごく少なかった可能性が高いのではないでしょうか。

和歌山市では食料の備蓄について、「市民・県・市がそれぞれ1日分の備蓄することを基本とします」としています。これは全国のほかの自治体でも、市として1日分とか2日分とか、似たような目安を出しています。たいていどこの自治体でも強調しているのは、各家庭で3日分、できれは1週間分の備蓄をというものです。

しかし家庭の備蓄はそれだけ求められているのに、避難所の備蓄は1日とか2日とか、それも数か所に集中して置かれている場合もあるようです。もちろん、今回の地震では規模が大きかったために避難者が多かったというのも大きいでしょうが、地震直後からほぼ食べられていないような人が出ているのは、行政の備蓄の状況も影響している可能性があるのではないでしょうか。

記事でも書きましたが七尾市や志賀町では、おそらく食料や水の備蓄拠点はかなり限られていた可能性が高いと思います。搬送もできず、ヘリやドローンによる輸送も2,3日ではなかなかできなかった、もしくはできていても広範囲には行えなかった、ということなのではないでしょうか。

1月5日か6日ぐらいに日本道路交通情報センターのホームページで見てみましたが、石川県全体に渡って通行止めのマークだらけです。まさにズタズタに分断されています。いくら大地震だったとは言えここまでズタズタになってしまうのをみますと、「国土強靭化」とか「命の道」といった政策(スローガン?)も、何か虚しく感じてしまいます。南海トラフ地震が起これば、和歌山もこうなるのでしょうか。

熊本でも能登でも、孤立はかなり起こりました。国土強靭化とか命の道ですとか、道路やトンネルのインフラを強化して災害に備えようという考え方は、もはや限界なのではないでしょうか。むしろ分断や孤立は起こるものという前提で、そうなったときにいかに物資を素早く搬送するか、そっちに予算を割り振るようにした方がいいのではないでしょうか。

紀美野町や広川町、有田川町では、食料や水の備蓄拠点は2〜4か所です。志賀町の町長さんが答弁されていたように、「1日分程度は避難者が持参する」という見込みといいますか算段になっている自治体は、結構多いのかもしれません。そうなっているのは、要は県で1日、市で1日、家庭では最低3日分といったような目安と言いますか、割り当てがあることも影響しているのではないかと思います。

この前、ちょっと気になるやりとりがX(旧ツイッター)でありました。秋田の県議会議員の方が、輪島市で「水も食料もない」と避難者が訴えているというツイートを引用して「3日間は基礎自治体の備蓄でやりくりしてもらいながら体制を整えていくのが基本中の基本です」とツイートして、案の定といいますか、いわゆる炎上みたいな感じになっていたのです。

ただ多くの自治体で実際に1日とか3日みたいな目安をもうけているわけですから、その意味では、この政治家の方が仰っていることは間違いとも言えないとは思います(基本中の基本、という言い方はどうかという気はしますが)。ただ私はこういう3日とか1週間とか、1日はここでとか、正直なところ、こういうのが実際に被災したときにどれだけ役に立つのかな、という気がしなくもありません。

そもそも家で備蓄していても、災害のときに必ず持ち出せるとはかぎりません。私も普段自分が過ごしている部屋のドアのところに避難セットみたいなのを置いていますが、いざ地震が起こって天井や壁が崩れてきたら、忘れずにそれをさっと持って逃げ出せるかどうか、とても自信ありません。

あとで取りに行くにしても家ごと潰れたり津波で流されてるかもしれませんし、残っていても中に入れるかどうか分かりません。行政の備蓄倉庫にしたって、大抵は頑丈につくられているとは思いますが、潰れたり流されたりするリスクがないわけではないと思います。

で、なんとか備蓄物資を持って避難したとしても、状況にもよるでしょうが、食料が少ないとか入手できる見込みが薄いとかなれば、おそらく全員で持っている食料を分けることになるのではないでしょうか。そうなったときに、「これは私が備蓄していたものだから自分で食べる」とか「あなたは何も持ってきていないのだから、食べないで我慢してください」とか、そういうのが通用するわけありませんし、通用してもいけないと思います。

要は日頃から備蓄していようがいまいが、災害が発生したときにどれだけ持ちよれたかどうかとかに関係なく、とにかくそこにあるもので、そこにいる人たちはしのぐ、という状況にならざるを得ないだろうということです。そういうときに「県で1日、市で1日、家庭で1日」とか「3日間は基礎自治体で」とかみたいな区切りをしたところで、役に立つどころか、「市は1日分だけ用意すればいい」とか、「県外からの支援は3日後からでいい」みたいな、ほんとは早く支援が入ればそれに越したことはないのに、わざわざリスクを増やすことにつながりかねないのでは、と思います。

「県で1日」みたいなのは、要は企業経営とかでよくいう全体最適を実現するため、つまり行政の備蓄が搬送されないとか家庭の備蓄を持ってきている人が少ないみたいな状況になっても、誰かが、どこかがそれを補填してしのげればいい、それを実現するための目安、という意味なのではないでしょうか。

別に国からの支援が、災害の当日から届いたっていいわけです。もしこういう1日とか3日みたいな区切り(理論?)が、備蓄はまとめて置いておけばいいとか、3日は基礎自治体でやればいいとか、そういう意味で広まっているのだとしたら、こういう広報(というか言葉の使い方)も、少し考える必要があるのではと、見ていてそういう気もしました。


というわけで、今月はこれぐらいにしておきます。もうひとつ地震関連で耐震改修のことを記事にしたのですが、こちらは調べてて、自分の家もやろうかなと思いました(笑)。

てっきり、こういうのって募集をかけたらすぐに埋まってしまうようなものだと思っていたのですが、意外にそうでもないようです(こういう大きな災害があったときには応募も増えるとは思いますが)。つい先日も被災地のニュース見てましたら、耐震工事していて家が倒れなかった、という方がインタビューを受けておられました。

上の繰り返しになりますが、もう道路は寸断するものという前提で、何なら寸断リスクとか孤立リスクを数値化・指標化して、それにあわせて分散備蓄するとかも考えてもいいのではないでしょうか。和歌山でも、おそらくは能登でもそうですが過疎が進んでいるわけですから、孤立をふせぐために立派な道路をつくるのにより力を入れるとか、あまり現実的でないように思います。

石川県のホームページをみますとすでに10億円近い義援金が集まっているそうですが、世の中、優しい方ばっかりではありません。匿名のネットの掲示板なんか、過疎地は切り捨てろとか、どうせ先がないんだから復興に金をかけるなとか、もうひどいもんです。和歌山も南海トラフで被災したら、同じようなことを言われるんじゃないでしょうか。

ただ言い方はひどいとしても、まあ都会から見たらそういう人もいるのかなと言うか、日本全体から見ればそういう方向になるのかもな、という気もしなくはありません。和歌山の中ででも、もう人がほとんどいなくなった集落ですとか、強制はできないけどできれば引っ越して…みたいなことを言うというのを、政治家の方から聞いたことありますしね。市町村単位、あるいはそれこそ県単位でそういう処理をされる日が、いずれは来るのかもしれません。

ただ今のところは自治体としてやってるわけですから、少しでも人口を増やす努力は必要なはず、と思うんですが…あとは記事の方で、岸本知事の発言をご覧いただければと思います(爆)それではまた来月〜

※次号は2月10日発行です。

有田・海南のフリーペーパー Arikaina
発行 内河将史
https://arikaina.com
arikaina@gmail.com
〒649-0111 和歌山県海南市下津町方187-10

参考=
Arikaina「災害避難所の備蓄 置かれてる量は意外と少ない?[1]」
https://arikaina.com/_article/201606/bichiku-1.html
北國新聞「『丸3日、何も食べとらん』 奥能登避難所へ物資届かず 本紙記者ルポ」
https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1281021
和歌山市「災害に備えた和歌山市の備蓄」
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/kurashi/bousai_bouhan_koutsu/1000032/1036580/1035575.html
とりネット/鳥取県公式サイト「県と市町村の連携備蓄」
https://www.pref.tottori.lg.jp/renkeibichiku/
政府広報オンライン「いつもの食品で、もしもの備えに!食品備蓄のコツとは?」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202103/2.html
座間市ホームページ「家庭での食料品備蓄(3日間は自力で生き残れる準備を)」
https://www.city.zama.kanagawa.jp/kurashi/bousai/guide/1001668.html
日本道路交通情報センター
https://www.jartic.or.jp/
Xユーザーのうさみ やすひと 秋田県議会議員さん: 「政治家なら分かると思いますが、発災後約3日間は基礎自治体の備蓄でやりくりしてもらいながら体制を整えていくのが基本中の基本です。」 / X
https://twitter.com/yasuhi10/status/1742623451570176319
石川県「令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について」
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/suitou/gienkinr0601.html
スラド「政府、能登半島地震を「激甚災害」指定へ」
https://srad.jp/story/24/01/08/147217/

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