Arikaina 2020/12 「十五娘」紙芝居を復刻、デジタル化
地域のお話、新しい形で語り継ぐ
冷水浦に伝わる「十五娘」 黒江小学校が紙芝居を復刻、デジタル化

 紀美野町・海南市の本紙読者の中には、昭和50年代ごろ、毎年小学校で映画上映や紙芝居が行われていたのをご記憶の方もいらっしゃるのでは。

この活動を行っていたのが「海南海草よい文化を育てる会」です。

11月、会が製作した紙芝居のひとつ「十五娘」がデジタル化され、約40年ぶりに海南市内の小学校で上演されました。

「十五娘」の一場面(画像提供:黒江小学校)

 「海南海草よい文化を育てる会」のメンバーだった海南市の西岡均さんによると、会が活動していたのは44年〜34年前。

地元の有志が美里・野上・海南・下津の小学校を回り、映画の上映や、紙芝居を上演する活動を行っていたとのことです。

 紙芝居は年に1作、地元の言い伝えや民話をもとに製作。「十五娘」は、海南市の冷水浦に伝わるお話です。そのお話はーー

 今から500年前、蓮如上人が冷水浦を訪れた時のこと。

上人が来たという噂を聞きつけ、冷水浦だけでなく、近隣からも多くの人が上人の話を聞きに来ていました。

その中に、一人の美しい娘がいました。

娘は何度も何度も、熱心に上人の話を聞きに来ていました。

年を聞かれると、「十五」とだけ答えました。

あまりに美しいので、ある晩、一人の若者が娘の後をつけました。

すると娘は冷水浦の浜でその姿を大蛇に変え、船尾の山へと帰っていったのです。

「大蛇まで姿を変えて話を聞きに来た」と、上人の評判はさらに広まり、ますます多くの人が集まるようになったとのことです。

ーーといったものです。

 西岡さんによると紙芝居は10作ほど作ったはずですが、貸し出してそのままになったりして、現在、残っているのは「十五娘」のみ。

西岡さんのご家族が海南市の黒江小学校で職員をしており、今年、この唯一残っていた紙芝居を同校でパワポを使ってデジタル化。

11月26日、約40年ぶりに子どもたちの前で上演されました。

子どもたちは「娘が蛇に変わって驚いた」「(船尾など)知っている地名が出てきてびっくりした」などと話していたとのことです。

 冷水浦にある浄土真宗のお寺・了賢寺によると、娘が蛇に姿を変えたとされるあたりの土地は、今も「十五」と呼ばれているとのこと。

黒江小学校の大和孝司校長は「もし他の紙芝居が見つかることがあれば、また子どもたちに紹介したい」と話しています。
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