有田・海南地域の各市・町は、国に対してさまざまなな支援を求める意見書を相次いで可決・提出しています。 「税収の激減避けがたい」 各市・町が国に意見書 意見書は「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方財政の急激な悪化に対し地方税財源の確保を求める意見書」というタイトルで、有田・海南の全市・町（紀美野町・海南市・有田市・湯浅町・広川町・有田川町）で、９月〜10月にかけて可決・提出されました。 タイトルだけでなく、意見書の文面もどの市・町もほぼ同じもの。 紀美野町の議会事務局によると、全国町村議会議長会で話があったものとのことです。 意見書では新型コロナウイルスの影響で税収の激減が避けがたくなっているとして、国に対して来年度の地方交付税を十分確保することや、減収分の補填措置を求めています。 特に地方の税収の中で大きな割合を占める固定資産税については、「見直しは、家屋・償却資産を含め、断じて行わないこと」とし、 さらに「緊急対策として講じられた特例措置は、本来国庫補助金等により対応すべきものであり、今回限りの措置として、期限の到来をもって確実に終了すること」を求めています。 国ではコロナの影響で収入が減少している中小企業・小規模事業者を対象に、'21年度の固定資産税をゼロ、もしくは１／２とする減免措置を打ち出しています。 しかし市や町では、こうした支援は早くやめてほしいと考えているようです。 建設業への影響は少ないので、公共事業にさらに投資を？ 一方この意見書とほぼ同時に、各市・町は「防災・減災、国土強靭化対策と地域経済復興に向けた社会資本整備のさらなる推進を求める意見書」という意見書を可決・採択しています。 こちらも文面はどの市・町もほぼ同じもので、台風や集中豪雨、地震・津波などへの備えを進めることを国に求めています。 さらにコロナの影響により「観光業や飲食業などの経済活動が、広範囲にわたって多大な影響を受けています」とした上で、 「そのような中、地域経済を支える基幹産業のひとつである建設業については、他産業と比較して影響が少ないことから、公共事業への投資をさらに追加することにより、地域経済回復の支えとなることが期待できます」と、なぜかコロナの影響が少ない建設業に特段の支援を求める内容になっています。 支援求める一方…選挙費用を公費負担にする条例が相次いで可決 こうして国にさまざまな要望を出している中、一部の町では、町長選挙や町議会議員の選挙における選挙費用（選挙カーやポスター・ビラの費用）を税金で負担する条例が相次いで可決されています。 これは６月に国会で成立した公職選挙法の改正にともなうもので、町で条例を制定すれば、選挙費用の一部が税金で補填されるようになります。 条例は紀美野町・湯浅町・広川町で９月に制定。 なお総務省によると条例を制定するかどうかは自治体の判断であり、制定しないことも可能とのこと。 条例を制定しなければ、選挙費用の補填も行われないとのことです。 なお、補填は各町の予算から支払われます。 コロナの影響による被害が広がる中、国にさまざまな支援を求めている市や町。 しかしその一方で、市や町の収入となる地方税や、町長や議員の支出といった『自分たちの財布』に関しては、傷まないように着々と手が打たれているようです。 参考＝ ゆあさ議会だより No.80 広川町議会「防災・減災、国土強靭化対策と地域経済復興に向けた社会資本整備のさらなる推進を求める意見書」（www.town.hirogawa.wakayama.jp/gikai/pdf/R2.9.kokudoikennsyo.pdf） 広川町議会「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方財政の急激な悪化に対し地方税財源の確保を求める意見書」（www.town.hirogawa.wakayama.jp/gikai/pdf/R2.9.koronaikennsyo.pdf） 海南市市議会だより No.63 有田川町議会広報第59号 有田市議会だより 第71号 中小企業庁「新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者に対して固定資産税・都市計画税の減免を行います」（www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2020/200501zeisei.html） 参議院「公職選挙法の一部を改正する法律案」（www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/201/meisai/m201090201016.htm） 前の記事 [3]続く献血不足
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