「観光客がいなくて破産の危機なの」広川町、自虐動画？を制作依頼

実際には観光客は増加傾向
箕高の生徒による、新しい特産品も

　なお実際には県の「観光客動態調査報告書」によると、広川町の観光客数は昨年の推計で約22万人。前年比で約124％の増加となっています。コロナ禍前の'19年と比べても、約５％の増加です。財政状況も、県の「令和４年度決算比率（暫定値）」によると広川町の実質赤字比率は15％／連結実質赤字比率は20％／実質公債費比率は６・６％となっています。いずれも財政再建基準を下回っており、特に実質公債費比率は、県内30市町村の中で７番目に良い数字です。

　また広川町はほかの有田地方の市・町と同様に柑橘の栽培がさかんなほか、箕島高校の生徒が「稲むらの火」にちなんだ「稲むら最中」を開発し、有田地方の各店で販売しています。

　さらに、町の中心部はＭ９クラスを想定したハザードマップでは多くが浸水すると予測されていますが、町の海岸沿いには「稲むらの火」の主人公である濱口梧陵が建設した「広村堤防」が今も残っています。１９４６年(昭和21年)の昭和南海地震のさいには、この堤防により町の多くの部分が津波による被害を免れました。

　「稲むらの火」は江戸時代、安政南海地震が起こったさいの物語。広村(現在の広川町)は巨大な津波に襲われ、多くの人が暗闇の中を逃げ惑いました。町の名士であった濱口梧陵(ごりょう)は、当時は大変な貴重品だった稲の束(稲むら)に火をつけ、これを目印として町民を誘導したと伝えられています。

　津波により広村は壊滅的な被害を受け、村人は住まいや仕事を失い、続々と町外へと移住していきました。濱口梧陵は私財をなげうって堤防工事をすることで村の人々に仕事を与え、さらに町内に数多くの家屋を建築。経済的に苦しい人には、それらの家に無償で住まわせたと伝えられています。

　それから約170年。現在の町役場が町内に人を呼び込もうとして、予算を使ってやったことは「町を自虐的にアピールすること」だったようです。

参考＝広川町「竹内亮『日本縦断の旅』−広川町編動画配信について」(https://www.town.hirogawa.wakayama.jp/soumu/news_20231004.html)／和歌山県広川町のプレスリリース「中国No.1※旅行インフルエンサー「竹内亮」氏が和歌山県広川町に日本オンリー１を求めて来訪。８/１から。」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000126534.html)／Yahoo!ニュース「個人SNS総フォロワー数628万人、関連SNS総フォロワー数1031万人。中国No.1インフルエンサーの映画監督・竹内亮が「政府のスパイだ」「中国政府から金をもらっている」と言われても中国を撮り続ける深い理由（集英社オンライン）」(https://news.yahoo.co.jp/articles/b88b5b7420d2d36916ce63d63da44279339b971f?page=4)／竹内亮ドキュメンタリー ウィーク TAKEUCHI RYO DOCUMENTARY WEEK(https://www.wanoyume.com/jp/takeuchi-ryo-documentary-week)／和歌山県「市町村課財政班」(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010600/03_zaisei/index.html)／和歌山県「県内市町村へのリンク」(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010500/furusato/shitorikumi.html)／和歌山県「和歌山県の観光客動態」(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/062400/doutai2.html)／［旅色FO-CAL］「和歌山県広川町特集うまいを巡る！広川町の特産品」(https://tabiiro.jp/book/fo-cal/hirogawa/column2/)／プレミア和歌山「稲むら最中」(https://premier-wakayama.jp/items/1293/)／広川町「稲むら最中の発売について」(https://www.town.hirogawa.wakayama.jp/kankou/inamuramonaka.html)／広川町「広川町ハザードマップ」(https://www.town.hirogawa.wakayama.jp/bousai/h_map/)広川町「広村堤防」(https://www.town.hirogawa.wakayama.jp/kankou/hiromurateibou.html)／百世の安堵 - 和歌山広川町の日本遺産「広村堤防」(https://hyakusei-no-ando.com/heritage/%e5%ba%83%e6%9d%91%e5%a0%a4%e9%98%b2/)／気象庁「稲むらの火」(https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami/inamura/p4.html)／【津波ディジタルライブラリィ】「濱口梧陵傳」(https://tsunami-dl.jp/document/190)

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