Arikaina 2024/1 備蓄物資、集中して置くところも
「災害が起こってから搬送」でいける?

有田・海南の各市・町、備蓄物資の状況 数か所に集中して置いているところも


能登の被災地、備蓄拠点が少ないとみられるところも

 今回の地震で大きな被害を受けた能登の市・町のホームページを本紙で調べたところ、備蓄しているところが少ないのでは?と思えるところもありました。

 七尾市の地域防災計画(ホームページの最終更新は'22年10月)では、食料と水は市役所にしか備蓄されていないことになっています。志賀町では'19年の町議会で町長が「各避難所における物資の備蓄については、(中略)災害の状況に応じた物資を、迅速かつ集中的に配送することが可能となる理由から、町の防災資機材倉庫で一元管理をしております」「また、地区避難所では、(中略)飲料水や食料の1日分程度は、避難者自身が持参することをお願いしていることから、物資の備蓄は考えておりません」などと答弁しています。

 また珠洲市では'21年策定の地域防災計画の資料の中で、すべての避難所に食料や水を備蓄するとしているものの、その量は「1日分」とされています。

普段から冷蔵庫に4日分
非常食とあわせ、おうちで1週間分

 もし、いざという時に避難所に水や食料がない/届かないとなれば、頼れるのは家庭での備蓄です。昔は災害用の備蓄と言えば3日分が定番でしたが、近年は南海トラフのような巨大地震を想定し、国や自治体では一週間分の備蓄を求めることも多くなっています。

 しかし一週間分となると、どうやって家に置いておけば…そういう方も多いのではないでしょうか。最近は一週間分の備蓄をパックにした商品も販売されていますが、身近な食料で実現する手段として、本紙が'16年に防災活動に取り組むNPO法人「プラス・アーツ」さんにうかがった方法を再掲します。

  • 普段から多めに買って冷蔵庫に入れておく。通常3日分ぐらいなら、日持ちするものを加え、4日分ぐらい冷蔵庫に常に入っていることを意識する。
  • 非常食を12食分用意する。「非常食」として販売されているものだけでなく、レトルト食品など、賞味期限が1年以上あるものならOK。これを毎月1回ずつ食べ、食べたら1食ずつ買い足す。これを繰り返す(ローリングストック)。この12食分と冷蔵庫の分とをあわせて、一週間分と考える。
  • 水は1人に1日2リットルを目安に、家に何か所か分散して置いておく(家が崩れても取れるようにしておくため)。
  • 水と食料に加え、カセットコンロとボンベ(15〜20本)を備蓄しておくことも推奨。

 また県では、家族の人数や備蓄日数によって必要な備蓄を表示する「防災備蓄計算」というサイトを公開しています。登録などは不要でどなたでも利用でき、人数と乳幼児の数、備蓄日数を入力するだけで、必要な備蓄品目と量が表示されます。

 道路の損壊などであちこちに通行止めが発生し、孤立する地域も多数出ていると報道されている今回の地震。能登と同じく山地の多い半島に住む私たち和歌山県民も、備蓄について、今一度見直した方がいいのかもしれません。

和歌山県「防災備蓄計算」サイトより
https://wakayama.bousai.linksmart.jp/contents/bichiku/index.html

参考=Yahoo!ニュース「『食料も水も足りない』 悲痛な声、石川の避難所(共同通信)」(https://news.yahoo.co.jp/articles/fb4fb03142d67ed8940f03047b85b42013912534)北陸中日新聞Web「【能登半島地震・孤立集落ルポ】帰省中に被災した名古屋の女性も 『食料、いつまで持つか…』」(https://www.chunichi.co.jp/article/832534)/YouTube「【能登半島地震】届けたくても届けられない 食料や水など物資不足が深刻に 空路に頼る搬送作業(ABCTVnews)」(https://www.youtube.com/watch?v=MzGCat-WPQY)/北國新聞「『丸3日、何も食べとらん』 奥能登避難所へ物資届かず 本紙記者ルポ」(https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1281021)/紀美野町地域防災計画 07 資料編(https://www.town.kimino.wakayama.jp/material/files/group/1/R503-shiryou.pdf)/海南市備蓄計画(https://www.city.kainan.lg.jp/material/files/group/46/bitikukeikakuR4.pdf)/有田市地域防災計画 資料編(https://www.city.arida.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/000/684/shiryour4.pdf)/湯浅町地域防災計画(https://www.town.yuasa.wakayama.jp/uploaded/attachment/1517.pdf)/広川町「町の防災備蓄について」(https://www.town.hirogawa.wakayama.jp/bousai/bichikuhinn.html)/有田川町受援計画(https://www.town.aridagawa.lg.jp/material/files/group/9/jyuenkeikaku.pdf)/七尾市地域防災計画(https://www.city.nanao.lg.jp/bosai/bosai_plan.html)/志賀町議会会議録 令和元年12月10日(https://www.town.shika.lg.jp/data/open/cnt/3/3973/1/teirei0402.pdf?20200221103129)/珠洲市地域防災計画 資料編 R3/3(https://www.city.suzu.lg.jp/uploaded/attachment/3558.pdf)/内閣府「できることから始めよう!防災対策 第3回」(https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/73/bousaitaisaku.html)/農林水産省「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」(https://www.maff.go.jp/j/pr/annual/pdf/syoku_bichiku.pdf)/宮崎県「災害後1週間は備蓄で乗り切る準備を!」(https://www.pref.miyazaki.lg.jp/kiki-kikikanri/bosai/chishiki/20160912191452.html)/レスキューネット「1週間備蓄セット(1人×7日分)-E」(http://www.rescuenet.jp/shopdetail/003001000078/)/Arikaina - 災害避難所の備蓄 置かれてる量は意外と少ない?[1](https://arikaina.com/_article/201606/bichiku-1.html)/能登地域トキ放鳥受入推進協議会「能登地域について」(https://www.pref.ishikawa.jp/sizen/toki/noto/index.html)

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