Arikaina 2024/4 ワカヤマソウリュウ 全身の復元骨格を作製へ
巨大な姿をリアルに感じられそう

有田川町で発見されたワカヤマソウリュウ 全身の復元骨格を作製へ


 '06年に有田川町の鳥屋城(とやじょう)山で発掘された、巨大は虫類「モササウルス」の化石。昨年12月にはこの化石が新種であることが県立自然博物館によって発表され、「ワカヤマソウリュウ」と命名されました。県は今年度の予算の中で、このワカヤマソウリュウに関する予算を計上。同博物館によると、全身の復元骨格が作製される見込みとのことです。


昨年12月、県立自然博物館での記者会見で披露されたワカヤマソウリュウの化石と復元画((C)Takumi)。尾部をのぞくほぼ全身が見つかっており、復元骨格では足りない部分の骨も補って全身を復元する予定です。

 「ワカヤマソウリュウ」は約7000万年ほど前、恐竜が生きていた時代に海に生息していた巨大なは虫類。モササウルスというは虫類の仲間で、有田川町で発見された化石は推定体長約6メートルという大きさです。

 化石は'06年に有田川町(旧金屋町)の鳥屋城(とやじょう)で、有田市出身で、当時大学生だった御前明洋さんが発見。その後、県立自然博物館学芸員の小原正顕さんらにより、発掘やクリーニング作業が続けられてきました。

 化石はほぼ全身が見つかるという、世界的にも貴重なもの。さらに「イルカのような背ビレがあった可能性がある」「足のヒレが異様に大きい」といった、今までのモササウルスの仲間にはあまり見られなかったような特徴が見つかり、昨年12月、県立自然博物館で新属新種であると発表されました。

3Dプリンタで化石のレプリカを作成

 県は2月に発表した今年度の予算で、この「ワカヤマソウリュウ」の展示標本などの制作費として約2000万円の予算を計上。県立自然博物館の小原さんによると、全身の復元骨格を作成するとのことです。

 小原さんによると、見つかった化石は3Dプリンタで樹脂を使ってレプリカを製作。さらに足りない部分の骨も製作し、全身の骨格を復元する予定とのことです。今年度中には完成させ、来年度には各地で巡回展を行いたいとしています。

 同博物館では以前からホームページで「最終的には足りない部分を補って全身復元骨格を作成したい」としていました。ついに、その全身の姿を間近で見られるようになるワカヤマソウリュウ。有田で発見されたこの巨大な化石が、来年にはまた話題を呼ぶことになりそうです。

有田川町、化石専門家の募集を開始

 また化石の発見地である有田川町では、ワカヤマソウリュウをまちづくりや観光にも活かそうと、化石の専門家の募集を開始しました。

 募集要項によると、対象となるのは大学や大学院で地質学や古生物学を専攻し、化石に関する業績を有する方。「地域プロジェクトマネージャー」として採用し、ワカヤマソウリュウを活かしたイベントの企画立案や、地域への教育振興に取り組んでいただくとしています。

 応募期間は4月25日まで。任用は今年6月から来年7月までの1年間ですが、最長で'27年まで再任するとしています。町の教育委員会によると来年度以降、ワカヤマソウリュウによる企画を具体形に実現させていきたいとのことです。

問い合わせ=
有田川町社会教育課 TEL.0737・52・2111(代)

参考=和歌山県立自然博物館「モササウルス発掘プロジェクト」(https://www.shizenhaku.wakayama-c.ed.jp/mosa/index.html)/和歌山県立自然博物館「有田川町算出のモササウルス類は新属新種!!—これまでの学説を覆す新たな発見—」(https://www.shizenhaku.wakayama-c.ed.jp/_userdata/23wakayamasoryu.pdf)/和歌山県「令和6年度当初予算(案)及び令和5年度2月補正予算(案)の概要」(http://wave.pref.wakayama.lg.jp/news/file/40043_0.pdf)/和歌山県立自然博物館「モササウルス発掘プロジェクト 今後の展望」(https://www.shizenhaku.wakayama-c.ed.jp/mosa/outlook.html)/有田川町地域プロジェクトマネージャー(会計年度任用職員)の募集について(https://www.town.aridagawa.lg.jp/top/kakuka/kanaya/7/8686.html)


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