Arikaina 2024/11 「かなや明恵峡温泉」PFI方式に移行へ
実質、運営を丸投げ?

赤字が続く「かなや明恵峡温泉」 有田川町、運営をPFI方式に移行へ[2]


町は20年ローンで改修費用を支払い
利益が出た場合は、すべて民間企業へ

 町は10月、PFI方式による運営の実施方針を発表。それによると建物の改修費用はすべて町が負担し、その費用を20年間に渡って運営する民間企業に支払うとしています。町では支払う額の上限を2億6000万円としており、仮に上限いっぱいで契約した場合、年間1300万円を民間企業に払い続けることになります。

 一方で町の商工観光課によると、温泉の運営によって利益が出た場合は、その利益はすべて民間企業のものとなるとのことです。ただし赤字となった場合も、赤字分の補填はしないとしています。

 町では応募する企業に対し、町に支払う運営権の対価を設定するよう求めていますが、同課によると対価の設定は0円、つまり支払わないという条件でも応募はできるとのことです。

入札金額ではなく「提案の内容を審査して」運営企業を選定

 町では11月中に募集要項を公開し、運営する業者の応募を開始するとしています。入札は応札した金額ではなく、提案内容を審査して落札者を決定する「プロポーザル方式」という方法で行われます。

 審査は町が設置する選定委員会が行い、来年2月には審査を実施。契約期間は20年としていますが、契約期間の終了後も、10年を越えない範囲で延長することができるとしています。

「合理的で適切な方法」「自治体の援助を」 事前調査で企業から意見

 実施方針の公表に先立ち、町は今年3月、同温泉の今後のあり方について民間企業から意見を募る市場調査(サウンディング調査)を実施。町の資料によると、参加した企業からはPFI方式について「『やりたい事業者』にしてみれば、すごく合理的で適切な方法」「レジャー産業ではPFI方式は前向きに捉えられている認識」など、PFI方式を強く推す意見が出ていたほか、「単独資金での事業実現は厳しいところがあるので、何らかの形で自治体の援助をいただきたい」と、町への資金援助を求める意見も出ていたとのことです。

 しかし町は調査に参加した企業数は4社と公表しているものの、企業名は非公表。町商工観光課によると、参加した企業があとでPFI方式の運営企業に選ばれたとしても、調査に参加していたかどうかは公表されないとのことです。

 調査に引き続き、町では10月に現地見学会と企業からの意見を受け付けましたが、同課によると、見学会への参加も意見も無かったとのことです。


 10月に発表した文書の中で、「最小の経費で最大の効果を上げることが期待できる」「将来的には、民間事業者から公共施設等運営権対価を得ることも期待される」などと、PFI方式に移行することのメリットをあげている有田川町。約20年前に町が11億円をかけて建設して人気を呼んだ温泉は、実質、民間企業の営利活動のために使われることになりそうです。町では来年6月に運営する企業と契約を締結し、7月から温泉の改修工事を行うとしています。

参考=有田川町「かなや明恵峡温泉大規模改修及び民営化事業実施方針 添付資料」(https://www.town.aridagawa.lg.jp/material/files/group/17/myoue_jissihoushin_tenpu.pdf)/内閣府「Q1 PFIとは : 民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)」(https://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/tebiki/kiso/kiso01_01.html)/有田川町「かなや明恵峡温泉大規模改修及び民営化事業実施方針」(https://www.town.aridagawa.lg.jp/material/files/group/17/myoue_jissihoushin.pdf)/有田川町「かなや明恵峡温泉」(https://www.town.aridagawa.lg.jp/top/kakuka/kanaya/9/2/onsen/619.html)/有田川町「かなや明恵峡温泉サウンディング調査結果」(https://www.town.aridagawa.lg.jp/material/files/group/17/sounding_kouhyo.pdf)/有田川町「かなや明恵峡温泉大規模改修及び民営化事業特定事業選定について」(https://www.town.aridagawa.lg.jp/material/files/group/17/tokuteijigyou.pdf)

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