Arikaina 2025/3 海南市歴史民俗資料館が閉館
海南市歴史民俗資料館が閉館 43年の歴史に幕

最後の特別展の模様(3月2日撮影)

 海南市は、同市木津の歴史民俗資料館を3月で閉館すると発表しました。閉館までの期間、これまでの展示を振り返る特別展を開催しています。

 海南市歴史民俗資料館は1982(昭和57)年にオープン。江戸時代の農具から昭和初期の家庭用品、海南市の地場産業である黒江漆器や和傘、棕櫚製品など、海南市にゆかりの品を収集・展示してきました。学校の遠足でも定番コースのひとつでした。

 しかし建物の老朽化が進んだことに加え、来年春には市内に後継施設ができることになりました。新施設のオープンにはまだ1年あまりありますが、市の教育委員会によると、資料整理などにあてるために3月で閉館することになったとのことです。

遠足のほか出前授業も
大人には昔の暮らしの展示が好評

 同館では閉館にあたり、館のこれまでの展示を振り返る特別展「収蔵資料の特別公開 〜歴史民俗資料館の43年〜」を開催しています。昔の家庭の様子を再現したコーナーや、大正・昭和・平成にかけての海南の町並みなどの写真の数々、1994年に廃線となった野上電鉄の制服や乗車券、江戸時代〜昭和の中ごろまで使われていた農具などが展示されています。

 同館の野田館長によると、遠足では市内の学校だけでなく、有田方面の学校から来館されることもあったとか。遠足だけでなく、館から小学校に展示物を持ち込んでの出前授業も実施していたとのことです。館の入口には今も、こどもたちからの寄せ書きがたくさん掲示されています。

 また「ものづくり教室」として、土鈴づくりや紙すき体験などのイベントも開催してきました。大人の来館者には、昔の暮らしを再現した展示が特に好評だったそうです。

収蔵物は実に3万点!

 閉館にあわせ、館では収蔵物を整理中。写真をデータ化するといった作業が行われています。野田館長によると、収蔵物は実に約3万点。さらに'12年に閉館した下津歴史民俗資料館の収蔵物も保管しています。

 収蔵物は館の中だけでなく、敷地内に保管用の倉庫もいくつか用意して収蔵しているとのこと。市の教育委員会によると、閉館後も館の建物は収蔵施設として使われるとのことです。

後継施設は来年春にオープン

 資料館の後継施設となるのは、来年春にオープン予定の海南市民防災公園内に設けられる「体験学習館」。市の資料によると、同館では市の歴史民俗や災害の歴史に関する常設展示や企画展示が行われるとのことです。

 市の教育委員会によると、「ものづくり教室」は体験学習館でも引き続き開催される予定。また小学校への出前授業も、学校から希望があれば教育委員会で対応したいと考えているとのことです。

▼海南市歴史民俗資料館
▽海南市木津233番地23
Yahoo!マップで見る
▽海TEL.073・487・3808
▽開館時間=9時〜16時半まで
▽(月)(火)休館
▽入館無料
▽無料駐車場有(5台)
▽アクセス=とれたて広場から370号線を東へ、阪井バイパスに入って約3キロ、高架になっている木津西交差点を南へ、資料館の看板にそって道なりにすぐ
※3月30日(日)が最後の開館となります

参考=海南市「海南市歴史民俗資料館」(https://www.city.kainan.lg.jp/shiseijoho/shiyakusho/sisetusyosai/shiryokan.html)/海南市歴史民俗資料館「令和6年度 特別展 『収蔵資料の特別公開』〜歴史民俗資料館の43年〜」(館配布のパンフレット)/海南市立南野上小学校「学校行事」(http://www.minami-sho.kainan.ed.jp/sub2.html)/海南市立巽小学校「がっこうだより 平成28年1月25日」(http://www.tatsu-sho.kainan.ed.jp/dayori2.pdf)/海南市「市議会だより かいなん No.80 2025.2.1」(https://www.city.kainan.lg.jp/material/files/group/4/sigikai80.pdf)/和歌山県文化情報アーカイブ「田嶋 一雄」(https://wave.pref.wakayama.lg.jp/bunka-archive/senjin/tashima.html)/海南市「海南市民防災公園グランドデザインについて」(https://www.city.kainan.lg.jp/kakubusho/machizukuribu/toshiseibika/CBK/6887.html)/海南市「(仮称)中央防災公園整備基本計画」(https://www.city.kainan.lg.jp/material/files/group/23/kihonkeikaku_202006henkou.pdf)/Arikaina 2012/2「下津歴史民俗資料館、3月一杯で閉館 収蔵物は加茂第二小学校に[1]」(https://arikaina.com/_article/201202/rekishi-1.html)/和歌山県立図書館 文化情報センター「『きのくに県民カレッジ』生涯学習情報検索」(https://www.lib.wakayama-c.ed.jp/cgi/college/college.cgi?e=1&city=10-%E7%B4%80%E5%8C%97&page=25)


次の記事
放送百年記念企画展

前の記事
ワカヤマソウリュウ、復元骨格と模型が完成!


←このページのコード

有田・海南のフリーペーパー
Arikaina
2025/3号