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Arikainaメールマガジン 2020/8号(2020/8/10発行)


Arikainaメールマガジン 2020/8号


皆様こんにちは、Arikaina発行人です。
今月は以下のような記事を掲載しています。

※本紙ホームページから全ての記事をご覧いただけます。
Arikainaホームページ
https://arikaina.com


▼感染が出るのは仕方ない?旅行キャンペーン、感染増加しても続行
https://arikaina.com/_article/202008/corona-1.html

▼再び感染が広がる中、病院経営がピンチ 御坊市長が切実な現状を語る
https://arikaina.com/_article/202008/hospital-1.html

▼和歌山ろうさい病院 自費診療によるPCR検査を受付開始
https://arikaina.com/_article/202008/pcr-1.html

▼日高川町 大型風力発電所に土地を提供
https://arikaina.com/_article/202008/windmill-1.html


メルマガ読者の皆さんこんにちは、Arikaina発行人です。
先月のこのメルマガで、来月から少しずつお店の情報も…みたく書いていたのですが、残念ながらまたコロナ陽性の方が増えてきました。で、今月もまたコロナのことが紙面を大きく占めることになりました。

国のGoToキャンペーンがはじまったのが7月22日。陽性を確認される人は増え続けており、和歌山のような地方でも広がりを見せています。

今月の記事でも取り上げましたように、和歌山県もGoToと似たような旅行支援キャンペーンをやっています。まだはっきりしたことは言えないとは思いますが、感染が落ち着いてもないのに「どんどん旅行に行きましょう!」みたいなことやってれば、そりゃ感染が広がるのも無理ないのではないでしょうか。

思い起こせばつい先日まで、国も県も「おうちにいましょう」「今は距離をとることが優しさです」みたいなことばっか言ってたのが、今は「どんどん旅行に行きましょう!」です。

たしかに6月に入ったころには、一日の陽性者が全国で40人とかなってましたから、そこで「旅行に行きましょう!」というのは、まあまだ分からなくもありません。しかしその後、どんどん感染者が増えても、当然のように批判も増えても、「旅行に行きましょう!」を続けています。

ただやっぱりと言いますか、いろいろ無理はあると思います。いつも記者会見で論理的に語られる仁坂知事ですが、この国・県の旅行キャンペーンがはじまってからは、どうも「らしくない」ところが目立っているように思います。その最たるものが「1人や2人」という発言ではないでしょうか。今月はこの発言をみて、そこら辺を記事にすることにしました。

仁坂知事は元外務官僚ですが、記事で書きました「等がついてるわけです」などは(シャレではありませんが)、いわゆる「霞ヶ関文学」と呼ばれるような、官僚独特の作文術ではないでしょうか。「県外受入自粛の強化等」という文章を読んで、「等がついているから、和歌山から行くのを制限するだけってのもあるな」とか思う人が、はたしてどれだけいるでしょうか。

今回の新型コロナウイルスに対しては、まだワクチンも特攻薬もありません。県内でも、2月や3月のころに比べれば検査体制は強化され病床も増えていますが、重症化を防ぐ方法や、重症になった方を回復させる方法についてはまだまだです。

これがたとえば、不完全でも実用できるワクチンができましたとか、特効薬ではないけれど、重症化した際に回復させられる薬がありましたとか、そういうのがあって、それで「じゃあ経済も、もちょっと回していきましょう」これだったら分かります。完全ではなくても、ある程度、感染そのものや、感染したあとのことをコントロールできるようになるからです。けど今はワクチンはまだ試験してるとこで、アビガンとかレムデシベルとかも、効くだの効かんだの言われているところです。

なのに「1人か2人」などと言い出すことは、これはつまり「1人か2人なら死んでもいい」と言ってることと、大して変わらないのではないでしょうか。その1人か2人が死の縁に立つことはないなどと、どうして言えるでしょうか。

「経済を回さなければならない」もちろん分かります。ですがそのために死ぬ人が出たら、それは尊い犠牲であるとでも言うのでしょうか。

もっとも、どっかで経済を回していかないといけないのもたしかです。「1人か2人」みたいなことも、結果的にはそうなるものなのかもしれません。でも知事のような為政者が、最初からそんなことを大っぴらに言ってしまっていいのでしょうか。

最近、SNSやネットのコメント欄とかで気になるのが「毎年、交通事故でたくさん死んでるよね」みたいな言い分です。「1人や2人」と同じようなニュアンスを感じます。

何やったってリスクをゼロにすることはできません。しかしだからといって、「少しぐらいならいい」になるのは、おかしいのではないでしょうか。毎年交通事故で大勢死ぬ、それが自分や家族だったとしても、仕方ないとかそういうものだで済ませるのでしょうか。自分自身であれば、もはやそれを確かめることもできませんが。

コロナ禍でも、すべての業種が凹んでいるわけではありません。むしろ伸びている業種もあります。コロナの前と同じようにやっていたのでは無理なのであれば、業態変換・業種変更、いろんな知恵や工夫を絞っていくべきなのではないでしょうか。ある業種はもう壊滅的になるとしても、それは受け入れて、ほかの稼ぐ方法を考える方が、リスクを増すようなキャンペーンをやるよりよほど生産的ではないかと思います。

1人や2人とか交通事故とか、こういう言い分はまさにあの有名な映画のセリフ「人がゴミのようだ」の視点に思えます。まるでシミュレーションゲームのごとく、人は命令や支持にしたがってわらわらと動くコマのような扱いです。たった1人、その「1人」の視点が欠けているように、私には思われます。誰にだって感情もあり、意思もあるのです。

少しぐらいの犠牲なら、大義のためには仕方ない。こういった発想には、私は非常に強い危機感を感じます。その「少しぐらい」になってしまった当人や周りの人は、果たして黙っているでしょうか?社会にあらぬ混乱や、対立を生み出すことになりはしないでしょうか?

仁坂知事がそういうつもりではなかったとしても、この状況の中、「1人か2人は」というようなことを為政者が口にするのは、厳に慎むべきであったと、私は思います。

そもそも考えてみますと、今キャンペーンで旅行に行けているのはなぜでしょうか?旅行に行かない人たち、自主的に行動を制限しているような人たちが、まだしも感染を抑えているから、なのではないでしょうか。

本来なら、行政は感染を抑えるような行動をとっている人こそ支援するべきだと思うのですが、しかし今は、感染を広げるような行動を行政が推奨し、支援しています。感染を抑えるような行動をとっている人には、特にその行動に対して、支援を受けられるわけではありません。

行政のこういう矛盾は、いつかどこかで大きな不満となってあらわれてくるのではないでしょうか。

4月に橋本で死者が出た際、知事は、熱があったのに病院に行かなかったのはマスコミが4日以上というのを強調したからではないかと話し、報道陣に「みなさんの責任ですよ」と語気を強めて話していました。もしはっきりと断定はできなくても、今回の旅行キャンペーン後に県内で死者が出た場合は、そのお言葉、そっくり知事の御身にはね返ってくることになるかと存じます。



さて、今月は文句だけでかなりいっぱいになったので、これくらいにしておきます。これは国も県もそうですが、前回の流行に比べるとなんか淡々としており、自然に減ることを待ってるような雰囲気になっている(で、だんだんと増えている)のが、どうにも不気味です。

私もいち県民としては、和歌山はもう、多少感染者が増えてもコロナ前のような生活を認めるという方向に舵を切っている。それを肝に命じて日々過ごしていかないといけない、とは感じています。

文句ばっかり書きましたので、最後にひとつそれ以外のことも書いておきたいと思います。曹洞宗を開いた道元の言葉です。私もできるだけおうちにいて、座禅でも組んでおこうと思います(笑)。それではまた来月〜

大都不離當處兮。豈用修行之脚頭者乎。

だれでも極楽の真ん中にいるのだ。だからわざわざ、悟りを求めて遠くに行脚して修行する必要もないのだ。

普勧坐禅儀 https://www.sets.ne.jp/~zenhomepage/hukanzazenngi.htm

※次号は9/10(木)発行予定です。

有田・海南のフリーペーパー Arikaina
発行 内河将史
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